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» 2019年01月09日 06時00分 公開

ZEB:避難検証法を“国内初取得”した住友林業の新筑波研究棟、ゼロエネルギービルの実現も視野に

住友林業は、茨城県つくば市にある「筑波研究所」の新研究棟の建方が2018年12月4日に完了したことを明らかにした。筑波研究所は、築27年が経過し、本館の老朽化と所員の増加への対応が課題となっており、新研究所の建築にあたっては、“現し構造”など木構造に関する新技術を多数採り入れている以外にも、施設の省エネ化によってゼロエネルギービルディング(ZEB)を目指している。

[石原忍,BUILT]

 住友林業の筑波研究所 新研究棟建築工事で、構造材を組み上げていく建方が2018年12月4日に完了した。筑波研究所は開設から27年が経過し、本館の老朽化と所員の増加への対応が急務とされており、新棟の新築工事では課題を解決するさまざまな木材技術を採り入れている。

「全館避難安全検証法」の大臣認定を国内で初取得

 新研究棟は2018年2月に発表した「W350計画」の研究拠点となり、「木を科学する」先進技術や木に関する幅広い知見を発信する拠点となる。梁(はり)は耐火の大臣認定を取得しており、万一の火災を考慮した「燃え代設計」で構造材が見える状態の“木の現し”を採用している。さらにソーラー発電やCO2を削減する設備なども導入して、省エネルギー化も図り、ゼロエネルギービルディング(ZEB)の実現も視野に入れる。

筑波研究所 新研究棟 出典:住友林業

 敷地も含めた整備費用は約25億円の見通しで、2018年3月26日に着工し、2019年5月末の竣工を予定している。研究棟の建築で活用されている技術は、今後のW350計画の礎になるという。

 新棟の構造は、壁柱を1200mm(ミリ)四方、厚さ300mmのLVL(単板積層材)の市松状に積み上げ、その中に鋼棒を貫き水平力に抵抗するポストテンション技術の準耐火構造。構造体の木を現しとすることで、温かみのある空間を実現している。建物の規模は、木造3階建てで、建築面積1120.27m2(平方メートル)、延べ床面積2532.67m2。プロジェクトマネジメントは、住友林業 木化推進部、設計はle style h Atelier Asami kazuhiro/住友林業 木化推進部、施工は川田工業がそれぞれ担当。

 大梁は準耐火60分大臣認定を取得した合わせ梁としている。火災時の避難経路などの避難安全性能は、国土交通大臣の認定を取得することで確認し、内装制限を緩和して設計の自由度を確保している。この物件は木造建築物を対象とした「全館避難安全検証法」の大臣認定を取得した国内初の物件となる。

現し構造を採用した新研究棟内観 出典:住友林業

 ZEB設備では、屋上面にソーラーパネルを設置する他、木質ペレット焚吸収冷温水空調システムの導入でCO2排出量を削減。吹き抜け上部には、四季を通して、太陽光を1階のインナーコートヤードに導く、トップライトを設置。吹き抜け内に上昇気流を発生させ、自然通風を活用し効果的に換気する工夫も施されている。

 新研究棟は、国土交通省の推進する「2017年度 サステナブル建築物等先導事業(木造型)」に採択され、収容人数140人のオフィスと木に関する情報を提供するギャラリーなども整備する予定。

 住友林業の掲げるW350計画は、創業350周年を迎える2041年を目標に、高さ350m(メートル)の“木造超高層建築物”を建設する技術開発構想。背景には、日本の国土に占める森林面積は約2/3を占め、OECD加盟国の中でフィンランドに次いで世界第2位となっている一方で、国産材の自給率は約3割前後にとどまっていることがある。

 2010年には、「公共建築物等木材利用促進法」が施行され、公共建築物の木造化が緩和され、国が率先して国産材の利活用に取り組んでいる。こうした動向を追い風に、同社では木材の利活用と経営のサステナブルな循環のイノベーションを起こし、人と木、さまざまな生物と地球が共生できる「環境木化都市」の達成を標ぼうしている。

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