住宅・ビル・施設 Week 2019 特集

竹中工務店が語るスマートビルとIoTスマートビル

「住宅・ビル・施設Week2018」で竹中工務店の奥田正直氏が「スマートビルにおけるIoTを活用したソリューション」と題した講演を行い、同社のスマートビルに関する取り組みについて語った。

» 2019年01月15日 08時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 住宅、ビル、公共施設、商業施設などあらゆる建築物を対象とした建築総合展「住宅・ビル・施設Week2018」(2018年12月12〜14日、東京ビッグサイト)が開催された。その中で、竹中工務店 エンジニアリング本部 エンジニアリング本部長の奥田正直氏が「スマートビルにおけるIoTを活用したソリューション」と題した講演を行い、同社のIoT化の進むスマートビルにおけるソリューションの取り組みについて、クラウドを利用したエネルギーマネジメントなどの事例を交えて紹介した。

竹中工務店の奥田氏

 竹中工務店がスマートビルでIoTを活用するのは、スマートビルにおけるデータ量の増加、高度な設備制御の必要性が高まっていることがあるという。具体的にはビル内でのセンサーの数が増加に伴うデータ量の増加、ウェルネス志向による個人データ量の増加、EV(電気自動車)の接続・充放電の制御、高度なエネルギーマネジメント、効率的な建物維持保全などがある。

 また、これに加えて気象データの活用、エネルギーの最安値での購入、VPP(バーチャル・パワー・プラント)などDR(ディマンドリスポンス)要請対応などのため、外部データとの連携が必要となってきた。さらに、エネルギーなどの見える化、熱源の最適運転、VPP・DR制御、健康支援プログラムなど、増加したデータを分析して活用するためのアプリケーションの活用も求められる。

 このようにスマートビルではこれらビッグデータの蓄積・分析、オープンかつセキュアな環境、拡張性、扱いやすさなどが求められており、こうした環境を構築するための鍵となるのが「クラウドを活用したIoT」(奥田氏)という。

 建物でIoTを活用するための一般的な仕組みは、各種センサー、ゲートウェイ、クラウド(プラットフォーム)そしてアプリケーションで構成される。竹中工務店では、こうしたIoTを活用したソリューションをこれまで展開してきた。BIMと設備制御の融合を実験した「ミラーワールド」(2009年)、クラウド型設備プラットフォームの「ビルコミ(ビルコミュニケーション)」(2012年)、エネルギー見える化とパーソナル制御、クラウドを利用した高度なエネルギーマネジメントシステム「I.SEM」(2015年)などで、これらを採用した建物の建設に取り組んでいる。

 このうち「ビルコミ」はセキュアな環境下で、建物内のサーバをクラウドに移行し、高度なネットワーク技術とオープンな技術を組み合わせることで、継続的に高付加価値のサービスが受けられるようにするソリューション。多様なデータの見える化、アプリ追加・更新による継続的なビル機能の更新、業務システムとの連携、外部サービスの利用、複数棟でのシステム合理化などの特徴があり、東京・大手町の「大手センタービル」などに導入している。

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