太陽光発電に環境アセスを義務化、40MW以上を対象に太陽光

環境省が太陽光発電所の環境影響評価(環境アセスメント)制度に関する方針を固めた。環境アセスを必須とする要件規模は40MW以上とする方針だ。

» 2019年01月17日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 環境省は2019年1月17日、太陽光発電施設の環境影響評価(環境アセスメント)の在り方に関する有識者会議を開催した。その中で、40MW(メガワット)以上の太陽光発電を、法令に基づく環境アセスメントの対象とする方針を示した。早ければ2020年度をめどに適用される見込みだ。

 2012年に「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」がスタートして以降、全国で太陽光発電の導入が急速に広がった。一方で発電所の開発と、景観への配慮や環境保全との両立に関する課題が顕在化してきた。こうした背景から、既に一部の自治体は条例に基づく環境アセスメントの義務化や、ガイドラインを制定するなど、対策を進めている。

 既に風力発電や地熱発電などについては、規模に応じて法令に基づく環境アセスメントの実施が義務付けられている。太陽光発電については対象外だったため、環境省は2018年夏ごろから制度設計の議論を進めてきた。

 国の環境アセスメントでは対象案件の区分を、周辺環境への影響が大きいものを「第一種事業」、これに準じる規模を持ちながら、環境への影響評価を個別に判断する「第二種事業」に分けている。今回環境省が提示した素案では、は第一種事業の規模要件を40MW以上、第二種事業を30MW以上とする方針。どちらも、パネルではなく系統接続出力の数値だ。

 この規模要件の設定は、国内に導入されている太陽光発電所の敷地面積と出力規模の相関などのデータを基に算出した。また、自治体の環境アセスメントでは50ha(ヘクタール)以上など、規模要件の指標を面積としている例が多い。そこで、国の法令に基づく環境アセスメントでは規模要件を交流出力ベースとし、法と条例の規模要件を異なる指標とすることで、環境影響評価を実施すべき事案を確実に対象に含められるようにする狙い。

法と条例の対象事業のカバー範囲イメージ 出典:環境省

 なお、この規模要件が小さい案件についても、今後新たに定めるガイドラインに基づく自主アセスを促すべきとしている。ただし、今後予想される蓄電池の活用など、事業環境の変化を考慮するため、規模要件は5年程度で見直しを行う計画だ。

 環境アセスメントの評価項目については、大気、水、地盤、反射光、生態系、景観、廃棄物などを設ける。太陽光発電特有の環境負荷として、大気の項目ではパワーコンディショナー由来の騒音の測定および対策、景観や反射光については事前のシミュレーションなどが求められることになりそうだ。

 環境省は今後パブリックコメントの募集などを経て、制度の詳細や施行に向けたスケジュールを策定する計画だ。

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