本社ビルの実証・実演で判明した三菱地所がビル管理業務に“ロボット”を導入した理由ビルメン用ロボット(1/3 ページ)

三菱地所は2019年1月22日、本社が入る東京・大手町の「大手町パークビル」で、清掃ロボットや警備ロボットなどの実演デモや実証実験を行った。

» 2019年01月23日 07時30分 公開
[石原忍BUILT]

 三菱地所は、ソフトバンクロボティクスのAIを搭載した乾式清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」を2019年4月から全国の三菱地所グループの物件に100台導入する。導入に先立ち、2019年1月17〜23日の1週間、東京・千代田区の「大手町パークビル」で実証実験を行う。

 初日の1月17日は、プレス公開され、Whizの実証実験をはじめ、その他の清掃ロボット4台と、警備ロボットや運搬ロボットの実演デモンストレーションが行われた。

ロボットを適材適所に導入し、ビル管理業務の省人化へ

 Whiz以外の各機体は、Whizと同様のAI「Brain OS」を搭載し、人が搭乗してルートを記憶させるタイプの大型スクラバー(水掃除車)「RS26 powered by BrainOS(以下、RS26)」、清掃のプロが製作したシーバイエス社の「swingobot2000」、カナダ・Avidbots社と代理店契約を交わすマクニカの「Neo」、日本信号の狭い通路を対象とした「クリナボWET TYPE」。このうちソフトバンクロボティクスのRS26は、すでに三菱地所の商業施設に導入済みで、他の3機種については、性能適性を踏まえ、今後導入を検討していくという。

本社ロビーで一堂に会した清掃・運搬ロボット
三菱地所・渋谷一太郎氏とWhiz

 三菱地所 ビル運営事業部兼経営企画部 DX推進室 統括・渋谷一太郎氏は、ロボット導入の経緯ついて、「人手不足という社会的な問題のなかで、デベロッパーとしては、将来的な清掃業務、警備業務、設備管理の効率化・省人化が課題だった。ロボットであれば、人の作業を代替できるのではと、これまで実証実験を繰り返してきた。なかでも清掃業務は、性能面やコスト面で本当に実務に使えるロボットが登場してきている。異なる特性を持った複数のロボットを適材適所を考え、ビルや施設の運営管理の中で活用していきたい」と説明した。

 実証実験では、Whizを運搬ロボット「EffiBOT」に載せ、ビル5階の共有部廊下まで運んで自動清掃の有効性を検証した。

 運搬に使用したEffiBOTは、仏・Effidence社が開発した無人搬送車で、ボタン一つで人に追従したり、地図データに基づいて障害物を避けながら自動でも走行する。2018年11月には、福岡・福岡市のショッピングモール「MARK IS 福岡ももち」で、RS26とともに導入されている。300kg(キロ)まで積載可能なため、商業施設の荷さばき場での活躍以外にも、非常時の土のうや災害物資の運搬など、防災機能を担うことも見込まれている。

「Whiz」を搭載した渋谷氏に追従する運搬ロボット「EffiBOT」
人が搭乗してティーチングする大型スクラバーロボット「RS26」
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