経産省が新電力に救済措置、市場価格高騰でインバランス上限を200円/kWhに法制度・規制

資源エネルギー庁は卸電力市場価格が高騰していることを踏まえ、インバランス等料金単価の上限を200円/kWhとする措置を発表。当面のインバランス料金に上限を設ける、新電力への救済措置だ。

» 2021年01月15日 14時00分 公開
[スマートジャパン]

 経済産業省 資源エネルギー庁は2021年1月15日、卸電力市場価格が高騰していることを受け、インバランス等料金単価の上限を200円/kWhとする措置を1月17日の電力供給分から適用すると発表した。2022年4月からの導入が検討されていた料金単価の上限設定を、前倒しで導入したかたちだ。

 連日の寒波による寒さや天候不順などが影響し、全国的に電力需給が逼迫(ひっぱく)する状況が続いている。資源エネルギー庁が13日に開催した有識者会議で提示された資料によると、1月の電力需要は例年より約1割程度増加している状況だという。

 電力需給の逼迫は需要の増加だけでなく、太陽光発電の発電量低下や、火力発電用のLNG(液化天然ガス)の在庫不足などによる制約なども影響。これらの要因がかさなったことで、卸電力市場における近時のスポット市場では、最高価格が200円/kWhを超える日が継続している。

 こうしたスポット価格の高騰によって、新電力を中心に提供されている市場連動型の料金プランを契約している需要家への影響も懸念されている。既に市場連動型プランを提供している新電力では、契約需要家に対する説明や契約変更などの対応に追われている状況だという。

 また、市場価格高騰の影響で電力調達が行えず、新電力が事前に提出している需給計画を達成できない場合、不足分をインバランス料金として支払う必要がある。このインバランス料金は市場価格と連動するため、価格が高騰すれば、新電力の負担も大きくなる。

 経済産業省はこうした状況を受け「需要家が、安定的な電力供給サービスを継続的に享受できるようにする観点からは、小売電気事業者が将来の市場価格について、一定の予見性を持ってビジネスを行うことのできる環境が重要であると考えられる」とし、1月17日から6月30日までの間、インバランス等料金単価は200円/kWhとする措置の導入を決めたという。

今回の措置は、電気事業法(昭和39年法律第170号)第18条第2項ただし書の「託送供給等約款により難い特別の事情」に該当するものとしており、手続きは1月15日までに一般送配電事業者が行う。新電力の救済策といえる措置だが、自由化された市場に対する対応として、今後議論を呼びそうだ。

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