再生可能エネルギーを全国に、31件の開発プロジェクトが始まる:スマートシティ
経済産業省による地域の再生可能エネルギー導入計画を支援するプロジェクトの対象に31件が決まった。そのうち約半分は太陽光発電が占めているが、中小水力発電が8件、地熱発電とバイオマス発電が3件ずつ、風力発電も2件が含まれている。
全国各地で再生可能エネルギーを導入する機運が高まっているが、実際に事業化するとなると、さまざまな課題が浮かび上がってくる。発電設備の建設計画のほか、資金調達や収益性、環境調査など、各分野の専門家の知識が必要になることばかりだ。
経済産業省は2013年度までに再生可能エネルギーによる発電事業に着手できる企業を対象に、計画策定を支援するプロジェクトを開始した。シンクタンクの三菱総合研究所が運営主体になり、1件あたり上限500万円の予算で事業化に必要な調査を実施する。その対象に31件が選ばれた。それぞれの調査結果は2013年2月末までに報告書にまとめる。
31件のトップに挙げられているのは「八ヶ岳パワーパークまちづくり発電所」で、長野県茅野市にある八ヶ岳中央農業実践大学の校内にメガソーラーと小水力発電設備を建設するプロジェクトである。
このほかに青森県三沢市の古牧温泉における太陽光発電とバイオマス発電、東京都八丈島の地熱発電と揚水発電、徳島県佐那河内村の風力発電など、バラエティに富んだ計画が並んでいる。いずれも地域を巻き込んだプロジェクトで、再生可能エネルギーによるスマートコミュニティの形成を目指す内容である(プロジェクト一覧、経済産業省資料)。
経済産業省の狙いは、7月から始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度を活用して、地域の特色を発揮できる形でスマートコミュニティを全国に広めることにある。買取制度の対象になる発電設備は順調に増えており、当初の予測値を上回るペースで拡大している(図1)。この勢いを地域の活性化にもつなげることが期待されている。31件すべてのプロジェクトが2013年度に事業化に着手できれば、再生可能エネルギーの導入が全国各地で加速することになる。
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