下水汚泥から発生するガスから水素を抽出し、燃料電池で発電:自然エネルギー
栃木県は下水道浄化センターの下水汚泥の処理過程で発生するメタンガスから、水素を取り出して発電に利用する計画を立てている。電力は再生可能エネルギーの固定価格買取制度を利用して、全量東京電力に売電する予定。年間売電収入は1億円程度になると見込んでいる。
メタンは下水汚泥をタンクに蓄積し、発酵させることで発生する。こうして発生したメタンは、下水汚泥を発酵させるタンクを暖める燃料に使うくらいで、残りは捨ててしまっていることがほとんどだ。
栃木県はメタンを利用した発電設備を「県央浄化センター(河内郡上三川町)」(図1)に設置する予定。県央浄化センターでは、下水汚泥の処理過程でメタンを主原料とするガスが、年間およそ130万m3発生している。
メタンを発電に利用する方法は主に3種類。1つ目はメタンを燃焼させて、タービンを回して発電する方法。2つ目はメタンを燃料にしてエンジンを動作させる方法。3つ目はメタンから水素を取り出し、その水素を燃料電池に供給して発電する方法だ。
県央浄化センターでは水素を抽出して燃料電池で発電する方法を採用する。出力105kWの燃料電池を3台導入する予定だ。発電能力は合計で315kWとなる。栃木県は燃料電池を選んだ理由として、発電効率の高さ、排ガスが発生しないこと、騒音、振動がほどんどないこと、メンテナンスが容易であることを挙げている。
栃木県は年間発電量をおよそ250万kWhと見込んでいる。下水汚泥を使用した場合、再生可能エネルギーの固定価格買取制度では1kWh当たりの売電価格は40.95円となる。年間の売電収入は1億円を超える。
栃木県は2013年3月中に経済産業省からの設備認定と、東京電力との系統連系協議を済ませることを予定している。発電設備の建設は2014年までかかる見込み。2014年末の発電開始を目指している。
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