東京都の「屋根ぢから」プロジェクト、補助金に代わる促進策になるか:スマートシティ
住宅用の太陽光発電システムは国や自治体の補助金によって順調に広がってきた。しかし2013年度は国の補助金制度がなくなる可能性が大きい。東京都の補助金も2012年度分で終了する予定で、新たな促進策として低利のローンを使える「屋根ぢから」プロジェクトを計画中だ。
東京都と東京都環境公社が5月からの開始を目指して「屋根ぢから」ソーラープロジェクトの構想を打ち出した。これまでは住宅用の太陽光発電システムに対して出力1kWあたり10万円の補助金を提供してきたが、2012年度いっぱいで終了する予定だ。「屋根ぢから」ソーラープロジェクトは補助金に代わる促進策として実施するものである。
このプロジェクトでは金融機関と太陽光発電システムの販売店を公募する(図1)。東京都民が太陽光発電システムを導入する際に、指定の金融機関から低利のローンを受けることができ、10年か15年の分割払いで返済することが可能になる。
認定を受けた販売店に対しては、プロジェクトの条件に合った推奨プランを提供することが求められる。その条件には価格のほかに、発電量モニタリングや定期点検などの保守・運用サービスを含む。
東京都と東京都環境公社は4月上旬までに金融機関を選定したうえで、5月から指定の販売店を通じて推奨プランの太陽光発電システムを設置できるようにする計画だ。金融機関は低利のローンを提供することのほかに、販売店の営業・サポート体制をチェックする役割も担う。
実際に「屋根ぢから」ソーラープロジェクトが補助金に代わる促進策として機能するかどうかは、推奨プランの価格次第だろう。従来の補助金制度では住宅用で一般的な出力4kWのシステムの場合に40万円が支給されている。
住宅用の太陽光発電システムの最近の価格は、固定価格買取制度で2012年10月以降に認定された設備では1kWあたり平均42.7万円になっている。4kWで約170万円になるわけで、東京都の場合は40万円の補助金を引いた130万円前後で提供できるかどうかが、「屋根ぢから」ソーラープロジェクトを成功させる決め手になりそうだ。
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