発電量が1.5倍になる太陽光追尾型システム、駐車場と農地で実証へ:自然エネルギー
太陽の方角に合わせてパネルの向きが自動的に変わる「追尾型」の太陽光発電システムが注目を集めている。光学製品メーカーのフジプレアムが自社開発のシステムを駐車場に設置して5月から発電を開始する。さらに姫路市と共同で農地にも設置して、農業と売電によるダブル収入を試みる。
フジプレアムは兵庫県たつの市の自社工場の敷地内にある駐車場に、合計51基の追尾型太陽光発電システムを設置した。51基で242kWの発電能力がある。さらに工場の屋根などに固定型の太陽光発電システムを設置して、合計で1.5MW(メガワット)のメガソーラーを建設する予定だ。
追尾型の太陽光パネルは支柱の上に高く設置できる点が特徴である(図1)。太陽の方角に合わせてパネルの向きが自動的に変わるシステムになっている。通常の固定型の太陽光発電システムでは光の傾きによって発電量が大きく変動するが、追尾型はパネルの向きを変えることで、より多くの光を受けて発電することができる。
フジプレアムが出力3kWの太陽光パネルを使って試験した結果では、特に朝と夕方の発電量が増加する。固定型と比べると年間の発電量は約1.5倍になった(図2)。加えて設置スペースが小さくて済む利点もある。支柱の架台の大きさが太陽光パネルの面積の約20分の1と小さく、駐車場の通路などに設置することが可能だ。
駐車場のほかに農地にも展開する。フジプレアムの本社がある姫路市と共同で、市が所有する農地を使って研究事業を開始する。実際に稲作などを行いながら発電量と農作物への影響を検証して、農業収入と売電収入を両立できる新しい農業経営モデルの効果を確かめる。
追尾型の太陽光パネルを地面よりも高く設置することで、農地が影になる部分の面積と時間を縮小することができる(図3)。姫路市は2013年度の予算で研究事業のために1000万円を確保した。20枚のパネルで構成する4.4kWのシステム4基(合計16.6kW)を市有の農地に導入することにしている。
関連記事
- バイオマス発電で全国トップ、太陽・地熱・海洋エネルギーにも着手
新潟県が産業団地に追尾式のメガソーラー - 太陽光や風力からの電力でEVを充電、停電時も電力を供給
森精機製作所が太陽追尾型のシステムなどと連携 - 電力自給率100%を目指す淡路島、風力から太陽光・バイオマスまで
日本列島エネルギー改造計画(28)兵庫 - 太陽光発電の事業化が加速、10年で採算がとれる
再生可能エネルギーの固定価格買取制度(4)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.