太陽光発電の2013年度の買取価格、1000kW未満の非住宅用が焦点に:法制度・規制
4月から適用する太陽光発電の買取価格を決定する期限が20日後に迫っている。政府は直近のシステム設置コストをもとに買取価格を引き下げる方向だが、非住宅用で中・小規模の1000kW未満の場合だけコストが十分に下がっていない。それでも一律に引き下げてしまうのだろうか。
固定価格買取制度を主管する経済産業省は2013年度の買取価格を議論する「調達価格等査定委員会」を3月6日に開いたが、引き下げが予想される太陽光発電の買取価格案を固めるまでには至らなかった。3月末までに決定する必要があり、本日3月11日の午後に改めて委員会を開催して詳細を詰める。
毎年度の買取価格は発電にかかるコストをもとに見直すことになっている。太陽光発電に関しては直近の1年間でシステム価格が低下してきたため、現在の買取価格42円/kWhは2013年度には引き下げられる見込みだ。買取価格を決定する経済産業大臣も引き下げの意向を示している。
実際に住宅用と非住宅用のうち出力1000kW以上の太陽光発電システムに関しては、直近の1年間で1割前後のコスト低下が見られる。これに対して非住宅用で1000kW未満のシステムだけは当初の想定コストよりも大幅に高くなっていることが明らかになり、買取価格を引き下げることが難しい状況だ。
資源エネルギー庁が買取制度の認定設備を対象に集計したデータによると、1000kW未満のシステムの平均価格は43.4万円/kWである(図1)。もともと2012年度の買取価格を決めた際に想定したシステム価格は1000kW以上を含めて32.5万円/kWで、それを3割以上も上回っている。本来であれば、2013年度の買取価格を引き上げてもおかしくない状態にある。
一方でメガソーラーに相当する1000kW以上のシステム価格は28.0万円/kWまで下がってきた。同様に1割程度のコストダウンが見られる住宅用とともに、買取価格を1割くらい引き下げることが妥当である。
資源エネルギー庁は1000kW未満のシステムに関しても、コストの低下が継続すれば2013年度の第4四半期(平成26年1月〜3月)には30.1万円/kWまで下がると予測している(図2)。この点を根拠に、1000kW以上と合わせて28.0万円/kWを前提に買取価格の引き下げを実施したい考えのようだ。同庁の説明資料では「算定にあたって28.0万円/kWを採用することは、少なくとも高すぎるとは言えないのではないか」と微妙な表現を使って方向性を示唆している。
しかし実際に1000kW未満と1000kW以上のシステムでは設置コストが5割以上も開いており、双方の買取価格を一律で引き下げることは制度の趣旨に合わない。1000kW未満の場合の買取価格は42円/kWhに据え置くべきである。有識者で構成する委員会がどのような判断を示すのかに注目が集まる。
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