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新潟県沖で石油・天然ガスの試掘開始、メタンハイドレートよりも早く商業生産へ電力供給サービス

3月のメタンハイドレートの生産実験に続いて、早期に商業生産の可能性がある油田・ガス田の試掘作業が新潟県の佐渡南西沖で始まった。3か月間の試掘の結果を2013年度中にまとめたうえで、掘削事業を担当するJX日鉱日石開発が商業生産の可能性を検討する。

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 今回の試掘は2008年に三次元物理探査船「資源」を使って地質構造を解析した結果から、石油・天然ガスが存在している可能性が高いと推定された海底で実施する。佐渡島から南西に約30キロメートルの地点で、本州からでも50キロメートル程度の近距離にある(図1)。


図1 新潟県の佐渡南西沖にある試掘地点。出典:資源エネルギー庁

 4月14日に開始した試掘作業は約3か月にわたって実施する予定だ。JAMSTEC(地球深部探査センター)が保有する地球深部探査船「ちきゅう」を拠点にして、水深1100メートルの海底から下に2700メートルまで掘り下げる(図2)。3月に実施したメタンハイドレートの生産実験の場合と比べると、水深は同程度だが海底の掘削距離は約2倍になる。


図2 地球深部探査船「ちきゅう」による試掘方法。出典:資源エネルギー庁

 試掘の対象地点になっている佐渡南西沖は、経済産業省が2000年にとりまとめた「国内石油・天然ガス基礎調査検討ワーキンググループ検討結果」の中で、まだ探鉱できていない有望な5つの地域の1つに挙げられていた。

 佐渡南西沖のほかに未探鉱で有望な地域に挙げられているのは北海道の日高南部と根釧地域、千葉県の房総沖、沖縄のトカラ沖である。政府は2013年度の予算で佐渡南西沖の試掘作業を実施して、今後の我が国の周辺海域における油田・ガス田の開発を加速させる方針だ。

 佐渡南西沖の試掘を担当するのはJX日鉱日石開発で、2004年にも近隣の海底で試掘調査を実施したことがある。その時は石油・ガス層を発見したものの、商業生産に至るまでの規模にはならなかった。今回の試掘地点は前回の北側に隣接していて、三次元物理探査船によって100平方キロメートルを超える規模の地質構造が確認されている。

 JX日鉱日石開発は2013年度中にまとめる試掘結果をもとに、商業生産の可能性を検討する。商業生産は計画に着手してから5年程度で可能になるとみられる。メタンハイドレートの商業生産が早くても2020年代の前半と想定されており、それよりも早く佐渡南西沖で石油・天然ガスの生産を開始できる可能性が期待できる。

 日本の今後のエネルギー戦略を考えるうえで、火力発電の優位性が徐々に高まってきた。

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