洋上風力と波力発電を港に導入、「スマートポート」を推進する静岡県:スマートシティ
太陽光から地熱まで再生可能エネルギーの導入に積極的な静岡県が港湾地域にも対象を広げる。駿河湾の入口にある御前崎港で洋上風力と波力を中心に海洋エネルギーの開発に取り組むため、発電事業の提案を募集中だ。エネルギーの地産地消を推進して「スマートポート駿河湾」を目指す。
御前崎港は静岡県の南端にあって、国から「重要港湾」に指定されている大きな港である(図1)。この港の中の2か所を「再生可能エネルギーゾーン」に設定して、洋上風力や波力による発電設備を導入する構想が動き始める。
静岡県は太陽光をはじめ再生可能エネルギーが豊富で、県を挙げてエネルギーの地産地消を推進している。港湾地域でも再生可能エネルギーを導入して「スマートポート駿河湾」を目指す方針を掲げる。その施策のひとつとして御前崎港の海洋エネルギーを活用したプロジェクトを進める計画だ(図2)。
民間事業者との共同開発を前提に、5月31日まで提案を募集する。御前崎港の近くの陸上では中部電力が風力発電所を運営するなど、風況が良いことは実証されている。ただし対象になるゾーンの中では漁業が営まれていることから、風力発電による低周波の影響などを考慮する必要がある。
地元の御前崎市には中部電力の「御前崎風力発電所」が合計11基の大型風車を使って稼働しているほか、再稼働の是非が問われている「浜岡原子力発電所」がある(図3)。これらの大規模な発電所から電力を供給するために送配電ネットワークの容量は十分にあり、新たに洋上風力や波力による電力が加わっても問題なく対応できると考えられる。
このところ洋上風力発電の建設プロジェクトが全国各地で相次いでいて、多くの事業者が注目している。すでに一部の自治体は港湾の再開発を目的に発電事業者の誘致に積極的に取り組み始めた。御前崎港の場合は風況と送配電ネットワークに強みがあり、漁業への影響を含めて環境問題の調整を自治体側が支援できれば、早期の導入が期待できる。
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