BEMS/HEMSと蓄電池の補助金が4カ月も早く終了、106億円を国庫に返還:補助金
2012年度から2年間の予定で実施中の補助金が4カ月も早く終了することになった。BEMS/HEMS(ビル/家庭向けエネルギー管理システム)と定置用リチウムイオン蓄電池の導入を補助する制度だが、復興関連予算を厳格に執行するために期間を短縮して106億円を国庫に返還する。
東日本大震災の教訓から我が国のエネルギーインフラを再構築する取り組みが始まり、その一環で節電対策としてBEMS/HEMS(ビル/家庭向けエネルギー管理システム)と定置用リチウムイオン蓄電池を普及させる国の補助金が2012年度から実施されてきた。BEMS/HEMSで300億円、蓄電池で210億円の合計510億円を投じた大型の補助金制度だったが、復興庁と財務省による予算執行の厳格化によって計画よりも4カ月早く終了することが決まった。
BEMSは2013年10月31日までに、HEMSと蓄電池は9月30日までに、それぞれ契約を締結しないと補助金を受けることができない。補助金制度を所管する経済産業省が復興庁と財務省からの要請に応じたもので、期間短縮によりBEMS/HEMSで52億円、蓄電池で54億円の予算を国庫に返還する(図1)。
予算の返還そのものは復興庁と財務省が7月2日に公表していたが、補助金制度の期間短縮は9月13日に経済産業省から突然発表された。関連する事業者や導入を予定していた企業や家庭に対する影響は小さくない。
3種類の補助金のうち、BEMSだけは実際の申請状況が運営団体のSII(環境共創イニシアチブ)から毎週発表されている。最新の2013年9月6日時点の申請数は6488件で、制度の開始当初に掲げた2年間に1万件の目標に対して65%程度の進捗率である。このまま2013年度末まで継続しても目標に達しない可能性が大きかったことは確かだ。申請状況を公表していないHEMSと蓄電池についても同様の状況にあるとみられる。
一方で経済産業省は新たに2014年度の概算要求で同種の補助金制度を計画している。BEMSを含めて事業所に導入する省エネ設備を対象に700億円の「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」のほか、130億円の「定置用リチウムイオン蓄電池導入支援事業」を要求項目に盛り込んだ。経済産業省には従来の制度の問題点を十分に検証したうえで、より効率的な制度設計と実施体制の確立が求められる。
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