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太陽電池は紫外線に弱い?、可視光へ変換すれば発電能力が2%アップ:蓄電・発電機器
通常の太陽電池は紫外線を嫌う。化学反応を起こして電池の素材を劣化させてしまうからだ。日東電工は紫外線を可視光へ変換できる色素を開発して、太陽電池モジュールの発電能力を2%高めることに成功した。メーカー向けに2014年度の下期から販売する。
「UVカット」を必要とするのは人間だけではない。赤外線から紫外線まである太陽光の中で、特に紫外線は物質の化学反応を起こしやすく、プラスチックなどの素材を劣化させる。太陽電池の寿命にも影響を及ぼすため、通常は「UV吸収材」の入った封止シートを使って、紫外線が電池の部分まで届かないようにしている(図1)。
日東電工が開発した「レイクレア」は光の波長を変換できる色素で、紫外線を可視光へ変えることができる。これを太陽電池の封止シートに添加すれば、電池に届く可視光の量が増えて、発電能力が高くなる原理だ。レイクレアを添加した封止シートを電池の両面にはさむことで、発電能力が2%程度アップする(図2)。
太陽電池の技術的な課題の1つは、太陽光のエネルギーを電力へ変換できる効率が低い点にある。メーカー各社が長年にわたって変換効率の改善に取り組んでいるが、1%を引き上げるのにも数年を要する。現在の量産品では変換効率が高いものでも15%程度にとどまっている。
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