ニュース
下水処理のバイオガスで500世帯分の電力、自治体は支出ゼロで収入と温水を得る:自然エネルギー
自治体が運営する下水処理施設はバイオマス資源を大量に排出している。下水処理の過程で発生するガスは再生可能エネルギーになり、固定価格買取制度を適用すれば太陽光発電よりも高い価格で売却できる。長崎県の大村市は発電設備のメーカーと組んで2014年10月から発電事業を開始する。
大村市は下水処理設備のメーカーである月島機械と契約を結んで、市が運営する「大村浄水管理センター」に発電設備を導入する。下水処理の過程で発生する「消化ガス」を燃料に使って発電する方式で、設備の建設から運営までを月島機械が引き受ける。大村市は消化ガスと土地を提供する代わりに、ガス料金や土地使用料を受け取る仕組みだ(図1)。市の資金負担は一切ない。
発電設備は10台のガスエンジンで構成して、合計250kWの電力を供給することができる(図2)。年間の発電量は190万kWhを見込み、一般家庭で500世帯分の電力使用量に相当する。2014年10月から発電を開始して、全量を九州電力に売却する計画だ。すでに固定価格買取制度の認定を2014年2月に受けている。
下水処理で発生する消化ガスを使った発電設備は建設費・運転維持費ともに高く、それに合わせて買取価格は太陽光発電よりも高い1kWhあたり39円(税抜き)に設定されている。大村浄水管理センターの発電事業では年間の売電収入が7400万円になり、買取期間の20年間の合計で約15億円が見込まれる。
関連記事
- バイオガスで発電・売電、下水処理の焼却コストが1億円以上の収益に変わる
栃木県は4カ所の浄化センターに導入 - 下水でバイナリー発電、汚泥処理の電力を70%削減
大阪府の池田市で最先端のシステムが運転を開始 - 下水の汚泥からバイオマス燃料、火力発電所で石炭と混焼
J-POWERと九州電力が長崎県で開始 - 支出ゼロをうたう神戸市、太陽光とバイオガスでダブル発電
初期投資なしで年間3000万円以上の発電収益 - バイオマスは電力源の宝庫、木材からゴミまで多種多様
再生可能エネルギーの固定価格買取制度(8)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.