太陽光発電の認定は6カ月で失効、4月1日から運用ルールが変わる:法制度・規制
経済産業省は固定価格買取制度の運用ルールを2014年4月1日から変更する。太陽光発電設備で出力が50kW以上の場合に限って、認定後6カ月以内に土地と設備を確保できなければ権利が失効することになった。建設コストの低下を見込んで工事を意図的に遅らせる事業者を排除する狙いだ。
非住宅用の太陽光発電の買取価格は2013年度と2014年度の2年連続で4円ずつ下がっている。事業者は高い買取価格の適用を受けるために、年度末に急いで認定を受けるケースが多く、2013年の2月と3月に急増した(図1)。ところが実際に発電を開始した設備は少しずつしか増えていない。高い買取価格で認定を受けたまま、工事を先延ばしにする事業者が数多くいるためだ。
この問題を解消するために、経済産業省は2014年度から運用ルールを変更することにした。事業者が発電設備の認定を受けるまでのプロセスは従来と変わらないが、認定後6カ月以内に土地と設備を確保しない場合には認定そのものが効力を失う(図2)。経済産業省が過去の認定設備の実態を調べた結果では、新ルールを適用すると約2割が失効に該当する。
新しい運用ルールの対象は出力が50kW以上の太陽光発電設備で、2014年4月1日以降に認定を受けるものに限られる。50kW未満の太陽光発電のほか、風力・中小水力・地熱・バイオマスによる発電設備には適用しない。
現在の固定価格買取制度で非住宅用の太陽光発電設備の認定を受けるためには、土地と設備の仕様が決まっていることを確認できる書類を提出する必要がある(図3)。加えて今後は土地と設備を確保できたことの届出を6カ月以内に済ませないと、認定が失効して買取制度の適用を受けられなくなる。
ただし電力会社との連系協議に長い時間がかかるケースや、被災地で地権者の整理や除染などに時間を要する場合には、例外的に失効までの期間を延長する方針だ。
経済産業省は出力が50kW未満の太陽光発電設備に対しても、同様の失効条件を適用できるように体制を整備していく。小規模の太陽光発電は認定件数が多いため、土地と設備の確保を電子的に確認できる方法も検討する。
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