固定価格買取制度の認定が5月に急減、太陽光はわずか28万kW:法制度・規制
2014年度に入って買取価格が引き下げられたことを受けて、太陽光発電の認定が大幅に減少している。資源エネルギー庁がまとめた最新のデータによると、5月に認定を受けた太陽光発電設備の容量は合計28万kWにとどまり、4月と比べて約10分の1の規模に落ち込んだ。
固定価格買取制度の最新状況は2014年度から公表方法が変更になり、実際に運転を開始した設備の規模を示す導入容量のほかに、買取電力量、買取金額、認定容量の4種類をまとめている。資源エネルギー庁が公表した5月末の状況を見ると、導入容量は前月から66万kWの増加で順調に伸びたのに対して、認定を受けた設備の容量は46万kWにとどまった(図1)。
2012年7月に固定価格買取制度が始まって以来、月間の認定容量が導入容量を下回ったのは初めての事態である。これまで急拡大してきた太陽光発電設備の認定容量が大幅に減少したためだ(図2)。2014年5月の認定容量は28万kWで、4月の270万kW、3月の2568万kWから極端な落ち込みを見せている。
太陽光発電では非住宅用の買取価格が2012年度の1kWhあたり40円(税抜き)から2013年度に36円、2014年度には32円へ、4円ずつ引き下げられてきた。このため年度末に認定容量が急増した後に減少する状況は2013年度にも見られた。実際に非住宅用の認定容量は2013年3月の646万kWから4月に42万kW、5月に27万kWへ減っている。ただし6月からは再び増加傾向に転じた。
2014年度も6月以降の増加は予想できるものの、2013年度と比べて伸びが鈍化する可能性は大きい。すでに有望な土地が少なくなってきていることに加えて、発電設備のコストダウンが想定したほど進んでいない点が挙げられる。加えて資源エネルギー庁が太陽光発電の認定後のガイドラインを設けたことで、用地を確保できていない事業者が申請しにくい状況になっている。
一方で買取価格に変動がない太陽光以外の発電設備の認定容量は5月も着実な伸びを示した(図3)。風力は5万kW、中小水力は2万kW、バイオマスは11万kWの増加で、地熱だけは増加が見られなかった。バイオマスは2014年度から集計基準が変わったために比較はできないが、風力と中小水力は4月と比べて月間の認定容量が伸びている。
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