太陽光発電の導入量が2年間で5倍に、北海道電力が2015年度に想定:自然エネルギー
北海道電力は電気料金の再値上げにあたって厳しいコストダウンを求められているが、再生可能エネルギーの買取量が増えれば燃料費を減らすことができる。2015年度には再生可能エネルギーによる電力が2013年度の2倍の規模になり、特に太陽光は5倍に拡大することを見込んでいる。
北海道電力が10月1日から実施する予定の再値上げに関して議論が大詰めを迎えている。原子力発電所の再稼働が遅れたことによる火力発電の増加が再値上げの理由になっているため、今後の電源構成の変動予測が重要な論点の1つだ。その中で北海道電力は再生可能エネルギーの導入量が2015年度には2013年度の2倍に拡大する見通しを明らかにした(図1)。
北海道電力が供給する再生可能エネルギーには自社の地熱発電所と太陽光発電所に加えて、固定価格買取制度によって買い取る他社からの太陽光・風力・バイオマス発電などがある。2013年度は年間に約11億kWhの電力量になり、北海道電力の発受電電力量(327億kWh)の中で3.4%を占めた。
これに対して2014年度は再生可能エネルギーの電力量が15億kWhを超えて、2015年度には21億kWh以上に拡大する見通しだ。さらに北海道電力の水力発電所が供給する電力量が年間に35億kWh程度ある。2015年度の発受電電力量を2013年度と同水準と仮定すれば、水力を加えた再生可能エネルギーの比率は17%まで高まる。
固定価格買取制度が始まった2012年7月から、北海道では太陽光発電を導入する動きが急速に広がった。北海道電力が他社分を含めて導入する太陽光発電の電力量を見ると、2012年度の0.6億kWhから2013年度は2億kWhに増加して、さらに2015年度には10億kWhに近づく(図2)。2年間で約5倍に拡大する勢いだ。その後も当面のあいだは同様の規模で導入量が増えていくことは確実である。
電力会社は固定価格買取制度で買い取った電力のコストを電気料金に賦課金として上乗せできるため、導入量が増えても実質的なコストの増加にはならない。その代わりに燃料費が高い石油火力の発電量を削減すればコストを引き下げることが可能になる。
再生可能エネルギーの導入量を積極的に拡大することは北海道電力の収益改善にも効果が見込める。ただし利用者にとっては賦課金の負担が増える。賦課金は全国一律に課せられるため、北海道だけが高くなることはない。
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