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ヒマワリのように太陽光を集めて、電力と熱を供給する:蓄電・発電機器
太陽光を2000倍に集光して電力と熱の両方を供給できるシステムが2017年に全世界で発売される見通しだ。IBMの研究部門とスイスの太陽光発電システム会社が共同で開発した高集光型の太陽光発電・熱システムである。晴天の日には12kWhの電力と20kWh相当の熱を供給することができる。
スイスに本社を置くAirlight EnergyがIBM Researchと共同で、高集光型の太陽光発電・熱システム(HCPVT:High Concentration PhotoVoltaic Thermal system)の製品化を進めている。HCPVTは高さが10メートルのヒマワリに似た形状で、40平方メートルの面積があるパラボラ型の集光面で構成する(図1)。集光面は太陽光に合わせて最適な角度に動くトラッキング機能を備えている。
集光面には楕円曲面状のミラーが36枚並び、それぞれのミラーが太陽光を集めて受光器に反射させる役割を果たす。受光器の中に太陽電池チップが集積していて、1センチメートルあたり最大57Wの発電能力がある。さらに太陽電池チップは薄い層の上に実装してあり、層の内部を水が循環して太陽熱を冷却する仕組みだ。冷却後の温水は85〜90度になる。
この一連の流れで太陽光エネルギーを2000倍に集約して、1日あたり最大で12kWhの電力と20kWh相当の熱を作り出すことができる。日本の一般的な家庭が1日に使う電力量は10kWh程度であることから、それに十分な発電能力がある。
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