太陽光と風力のハイブリッド発電所が運転開始、天候が悪くても発電できる:自然エネルギー
日射量と風況の両方に恵まれた愛知県の三河湾の沿岸部に、4種類の太陽光パネルと3基の大型風車によるハイブリッド型の発電所が完成した。太陽光と風力を組み合わせることで曇りの日や夜間でも発電が可能だ。発電能力は合わせて56MWになり、年間に1万9000世帯分の電力を供給する。
10月1日に運転を開始した「たはらソーラー・ウインド発電所」は国内では珍しい太陽光と風力を併設したハイブリッド型で、両方式を兼ね備えた発電所では最大の規模になる。太陽光で50MW(メガワット)、風力で6MWの発電能力があり、年間に6750万kWhの電力を供給することができる。
東京ドーム17個分に相当する80万平方メートルの敷地に、4種類の太陽光パネルを敷き詰めた(図1)。価格が安い多結晶シリコンを2種類のほか、発電効率が高い単結晶シリコンと高温に強い化合物系を加えた。それぞれ遠隔監視システムで発電状況を分析して比較検証する。
風力発電は1基あたりの発電能力が2MWの大型風車3基を設置した。発電所が立地する田原市を含めて、三河湾の周辺は日射量と風況の両方に恵まれている。この一帯の年間平均風速は毎秒6メートルを超えることから、設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は風力発電の標準値である20%を上回る見込みだ。太陽光発電の約2倍の発電効率になる。
ハイブリッド型の最大の利点は、単独の太陽光発電や風力発電と比べて天候の影響による発電量の変動が小さいことである。一般的に晴天の日は風が弱く、曇りや雨の日に風が強くなる場合が多い。夜にも風が吹くため、太陽光による発電量が少ない時に風力で補うことができる。実際にどのくらいの相乗効果があるか、実証結果が注目される。
田原市を中心に三河湾の沿岸には臨海工業地帯が広がり、自動車メーカーをはじめ製造業の工場が数多く集まる(図2)。広大な未利用地も多く、大規模なメガソーラーや風力発電所の建設が相次いでいる。
たはらソーラー・ウインド発電所の隣接地には、関西電力が6MWの風力発電所を2014年5月に稼働させたところだ。周辺の工業用地では中部電力グループと三菱商事が81MWのメガソーラーの建設を進めている。
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