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発電した電力の買い取りに欠かせない「系統接続」キーワード解説

固定価格買取制度の対象になる発電設備の接続を保留する問題が広がっている。再生可能エネルギーで発電した電力を買い取ってもらうためには、電力会社の送配電ネットワーク、いわゆる「系統」に接続する必要がある。接続の手続きを完了しなければ、発電設備の工事に入ることができない。

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 住宅用の太陽光発電を含めて、固定価格買取制度の適用を受けるためには電力会社(電気事業者)とのあいだで2種類の契約を結ぶ必要がある(図1)。1つは発電した電力を供給するための「特定契約」、もう1つは発電設備を送配電ネットワーク(系統)に接続するための「接続契約」である。


図1 固定価格買取制度を適用するために必要な2種類の契約。出典:資源エネルギー庁

 九州電力が2014年9月25日に「接続保留」の措置に踏み切ったことで、再生可能エネルギーの買取に不可欠な接続契約を締結できない事態に陥ってしまった。そもそも固定価格買取制度の適用を受けて発電設備の運転を開始できるまでには複雑な手続きが必要だ(図2)。その最初のステップが「系統接続(アクセス)」の検討を電力会社に依頼することから始まる。


図2 固定価格買取制度における運転開始までの流れ。出典:資源エネルギー庁

 発電事業者からの依頼を受けた電力会社は接続に必要な工事の内容や費用を見積もり、地域の電力供給に支障がないかを技術的に検討したうえで、接続の可否を回答することになっている。この回答を保留するのが九州電力のとった措置だ。太陽光発電を中心に再生可能エネルギーが急増した結果、さらに多くの発電設備を系統に接続してしまうと、電力の供給が不安定になる可能性が高まったためである。

 電力会社が運営している系統は送電設備・変電設備・配電設備の3つで構成する。これに発電設備や受電設備がつながって電力が流れる仕組みだ。すでに九州をはじめ全国の多くの地域では、系統に接続した発電設備から供給可能な電力の総量が送電・変電・配電設備の許容量に近づきつつある(図3)。


図3 九州で送電・変電・配電設備の容量が不足している地域(2014年9月時点)。出典:九州電力

 こうした容量不足を解消するためには設備を増強する必要がある。その費用は系統接続を申し込む発電事業者が負担しなくてはならない。接続にかかる工事費や接続可能な設備の容量をもとに、発電事業者が電力会社に対して接続を申し込んで受理された時点で、電力の買取価格が確定する。その後に接続契約の締結、設備の工事を経て、ようやく発電した電力の買い取りが始まる。

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