太陽電池の国内出荷量が2位に回復、住宅向けは停滞:自然エネルギー
太陽光発電協会(JPEA)は2014年11月、国内の太陽電池モジュールの総出荷量などを発表した。2014年7月〜9月はこれまでの最大量に次ぐ値にまで回復した。ところが用途別の数字からは全体とは違う傾向が見える。住宅向けの出荷量が停滞していることだ。用途別の比率で過去最低の22%を記録した。
太陽光発電協会(JPEA)は2014年11月、44社*1)を対象とした日本における太陽電池セルと同モジュールの総出荷量(いずれもkWベース)などを発表した。調査対象期間は2014年度第2四半期(2014年7月〜9月)である。
太陽電池モジュールの総出荷量は256万6538kW(約2.6GW)であり、これは前年同四半期の1.21倍に相当する(図1)*2)。前期比では1.28倍だ。第1四半期は大きく落ち込んだものの、第2四半期で回復した形である。
2014年9月末に5つの電力会社が相次いで系統接続検討結果への回答を保留すると発表しているため(関連記事)、今回の統計はその直前の状況を表していることになる。
JPEAは2014年10月分から、単月分の統計値の公表も始めた。日本における太陽電池モジュールの総出荷量である。結果は64万4018kW。こちらは保留発表の後の数字だ。第2四半期の25.1%にとどまったことになる。これまでのJPEAの発表によれば、第3四半期が第2四半期と比較して大きく落ち込むことはないため、保留の影響が考えられる。
なお、JPEAは単月ごとの統計値公表を開始した理由を2つ挙げている。まず、太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)が住宅用太陽光発電補助金の申し込み数を3カ月に1度公表しているものの、2014年度末で同補助金が終了すること(統計値の発表も終了)。次に、経済産業省が公開する毎月の導入量は発表まで約3カ月の遅れがあることだ。
住宅向けにてこ入れが必要か
JPEAは太陽電池モジュールの出荷量を用途別に集計している。図2では住宅用(空色)、発電事業用(オレンジ色)、一般事業用(黄色)の推移を示した*3)。
これを見ると、発電事業用や一般事業用は大きく回復しているものの、住宅用が低迷している。全出荷量に占める比率は2012年第1四半期からほぼ一貫して下がり続けており、今回とうとう22%に至った。60万kWを超えたのは2013年第4四半期だけであり、今回は52万8604kWである。
*1) 調査対象44社は以下の通り(うち42社からの回答を集計)。JPEAは日本で登記されており、外国法人などによる株式保有率が50%未満の法人を日本企業としている。社名をかっこで囲んだ20社が該当する。First Solar Japan、(LIXIL)、LS産電、REC Solar Japan、SunLink PV Japan、Upsolar Japan、ZENPOWER、(旭硝子)、(伊藤組モテック)、(イワテック)、インリー・グリーンエナジージャパン、ウエストホールディングス、エクソル、(エスパワー)、カナディアン・ソーラー・ジャパン、(カネカ)、(京セラ)、(クリーンベンチャー21)、サニックス、サンテックパワージャパン、(シャープ)、(ジャパンソーラーファクトリー)、新興マタイ、センチュリースバルソーラー、(ソーラーフロンティア)、ソプレイソーラー、(高島)、(長州産業)、(東芝)、トップ・ランナー、トリナ・ソーラー・ジャパン、トワダソーラー、ネクストエナジー・アンド・リソース、ネミー、(ノーリツ)、(パナソニックグループ三洋電機)、ハレオンソーラージャパン、ハンファQセルズジャパン、(日立アプライアンス)、(フジプレアム)、(三菱電機)、(明成商会)、リープトンエナジー、レネソーラ・ジャパン。
*2) JPEAは2013年度第1四半期から日本企業のモジュール総出荷量を公表している。図1では緑色系統の色で示した。日本企業の出荷量の比率は6四半期の間ほぼ一定している(69〜71%)。第3四半期の比率は71.1%だった。
*3) 国内の用途は住宅と非住宅に2分でき、非住宅は発電事業と一般事業に分かれる。この3つの用途で国内の99%以上を占める(残りの1%未満は電卓などの家電製品向けなど)。JPEAによる発電事業の定義は売電を目的とした出力500kW以上のもの、一般事業はオフィスや工場、公共施設などに設置したもの(容量を問わない)。
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