栃木県初の官民共同バイオガス発電開始、汚泥ガスから得た電力で地産地消:自然エネルギー
栃木県鹿沼市は、月島機械グループ2社とともに取り組んできた発電施設「鹿沼市黒川消化ガス発電」が発電を開始したことを発表した。
栃木県鹿沼市では2014年10月に、官民共同で「バイオマス発電事業」を実施することを発表。パートナーとして、月島機械および、同社の子会社であるサンエコサーマルを選定し、事業準備を進めてきた。
鹿沼市では、公共下水道処理施設として、黒川終末処理場をメイン施設として利用している。同施設では、通常の下水処理に加え、し尿・浄化槽汚泥や食品系バイオマスなどの未利用資源を汚泥処理施設で発酵処理している。今回の発電事業は、ここで発生するガス、いわゆるバイオガスを発電に利用するというものだ(図1)。
同発電事業は、鹿沼市の廃棄物(し尿汚泥、食品系バイオマスなど)を下水汚泥とともに処理し、廃棄物の安定処理とバイオマス資源からの創エネルギー(電気、温水)を実現するもの。FIT(固定価格買い取り制度)を利用した20年間の発電事業をベースとする。
鹿沼市では、原料となる未利用バイオマスの受入と処理および、バイオガスの供給を行う。一方、月島機械グループでは、主に食品系バイオマスを市で受け入れやすい形状にする設備や発電設備の建設と維持管理を行う。発電事業の運営も受け持つ(図2)。同事業により、これまで焼却処理していた余剰ガスも発電に利用できるようになるという。
使用するバイオガス発電設備は、設備容量250kW(キロワット)のガスエンジンを備える(図3)。今後、段階的に廃棄物の処理量および創エネルギーの量を増やしていく計画だ。年間発電量は将来的に一般家庭約450世帯相当の約160万kWh(キロワット時)となる予定。
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