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再生可能エネルギーの発電設備が4月に急拡大、過去最大の136万kWが運転開始:自然エネルギー
固定価格買取制度の認定を受けた発電設備が2015年4月だけで136万kWも運転を開始した。原子力発電の1基分を大きく上回る規模で、制度開始から4年弱で最大の伸びになった。太陽光発電が130万kWと大半を占める一方、認定の取り消しを受ける発電設備も増えてきた。
2015年度に入って初めての4月の導入状況は、固定価格買取制度の効果と課題の両方を示す結果になった。4月に新たに運転を開始した発電設備は136万kW(キロワット)に達して、過去最大だった3月の115万kWを大幅に上回った(図1)。わずか1カ月間で大型の原子力1基分を超える発電設備が誕生したことになる。
図1 固定価格買取制度による再生可能エネルギーの導入・買取・認定状況(2015年4月末。画像をクリックすると拡大)。各欄の下段の数字は前月比。バイオマスは燃料に占めるバイオマスの比率を反映。出典:資源エネルギー庁
136万kWのうちメガソーラーを中心とする非住宅用の太陽光が121万kWにのぼり、引き続き日本の再生可能エネルギーを牽引している。天候の影響を受ける太陽光発電の課題がますます広がる状況だ。そのほかの再生可能エネルギーでは出力が安定しているバイオマスが5万kW、中小水力も1万kWと着実に増えてきた。
新たに運転を開始する発電設備が増えたことで、電力の買取量も拡大している。4月だけで34億kWh(キロワット時)に達した。このペースで伸びていくと、日本の年間の発電電力量の5%以上を固定価格買取制度の発電設備だけで供給できることになる。買取金額も月間で1221億円にのぼり、前月と比べて249億円も増加した。
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