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「仮想電力会社」を実現する低価格な太陽光監視システム、9月に発売電力供給サービス(1/2 ページ)

太陽光発電の遠隔監視システムは、小規模な設備の場合導入コストと売電収益が釣り合わないため採用が進まないことも多い。そこでマウンテンフィールズと慶大の山中直明教授らは、小規模設備向けの低価格なクラウド型監視システムを開発した。さらに山中教授が提唱する「仮想電力会社」の実現に向けた制御ボックスプラットフォームとしての利用も計画しているという。

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 エネルギーマネジメント事業を手掛けるベンチャー企業のマウンテンフィールズと慶應義塾大学(以下、慶大)は、同大学 理工学部 山中直明教授の総務省委託プロジェクトの研究成果である分散エネルギー制御ゲートウェイ技術を適用した小規模太陽光発電所向けのクラウド型常時監視システムを開発した。

 同監視システムは小型のインターネット接続型監視ボックスとクラウドシステムを連携した遠隔監視システムで、大幅な低コスト化を図っている。これにより故障や強風による事故、盗難といった問題をかかえる小規模の太陽光発電システムの常時遠隔監視を実現するとともに、山中教授が提唱する「仮想電力会社」(後述)向けの制御ボックスプラットフォームとしての利用が期待される。

 太陽光発電システムは、多くの設備が、人目につかない郊外に設置されているために、台風や強風による損害、故障、設備盗難といったさまざまな障害が事業運営上の問題になっている。特にメガソーラーと異なる50kW(キロワット)以下の低圧連係太陽光発電システムは、投資額や売電量も比較的少ないため、人手による常時の監視・保守の実現や高価な遠隔監視システムの導入は困難だった。

 これまで山中教授らの研究チームは、仮想電力会社(EVNO:Energy Virtual Network Operator)の実現に向け、家庭に配備する発電量制御・売買電 力量制御ボックスの研究開発を進めてきた。仮想電力会社とは自社でインフラ設備を持たずに、発電・送電設備などの既存インフラを利用して電力の需給調整を行う事業者を意味している。スマートグリット内の複数の発電源、電力消費源などを仮想的に結んだ「仮想発電所」をつくることで、送電を行う電力会社と電力配分を行う仮想電力会社が分かれて事業を行うという概念だ(図1)。

 その中で同研究チームは総務省委託プロジェクトの研究成果の一部として、各家庭の制御ボックスをインターネットとクラウドを利用して連携運用し、仮想的に構築した「ローカル発電所」の制御・管理を可能とするシステムを開発している。今回開発したシステムには、この技術を適用した。


図1 仮想電力会社(EVNO)のイメージ 出典:マウンテンフィールズ
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