「仮想電力会社」を実現する低価格な太陽光監視システム、9月に発売:電力供給サービス(2/2 ページ)
太陽光発電の遠隔監視システムは、小規模な設備の場合導入コストと売電収益が釣り合わないため採用が進まないことも多い。そこでマウンテンフィールズと慶大の山中直明教授らは、小規模設備向けの低価格なクラウド型監視システムを開発した。さらに山中教授が提唱する「仮想電力会社」の実現に向けた制御ボックスプラットフォームとしての利用も計画しているという。
仮想発電所としての運用も可能に
監視システムには、マウンテンフィールズが開発した小規模な産業用太陽光発電所向けの監視システム「PモンZ(仮称)」を利用。低コスト化のために機能を限定して小型ボックスに搭載し、一方で機能の拡張性を確保するために小型ボックスとクラウドを連携させている。小規模な産業用太陽光発電所向け監視システムのボックスパッケージ型としては、国内最低価格2015年9月中旬ごろより販売を開始する予定だとしている。
今回開発した監視システムは3G通信回線を利用することで、通信回線工事を必要とせず手軽に設置でき、インターネットを介してPCやスマートデバイスに太陽光発電設備の状態を送信できる。リアルタイムの発電量や、1日、1カ月、1年ごとの累計発電量も確認できる。パワーコンディショナーに異常が生じた際は、指定したメールアドレスにアラートメールを送信する。こうした監視業務は、マウンテンフィールズに全て委託することも可能だ。
さらにオプションとして、トータルの発電量だけでなく、複数あるパワコンごとの発電量の監視や、個々のパワコンを仮想発電所として運用することも可能だ。このアーキテクチャにより、従来発見しにくかった部分故障にも対応し、さらに、将来的にパワコンのメーカー・機種依存性を無くすことができる。
今後両者は同監視システムを複数のカメラや人感センサーを備えた統合的保守監視システムや、複数の発電、蓄電、消費、電気自動車チャージを連携し、最少のコストで電力を利用する仮想電力会社の制御ボックスとなり、発電量制御や電気自動車への直接売電などのプラットフォームとして利用可能にするなど、さらなる応用・発展を図る計画だ。
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