中古パネルだけで太陽光発電、“自社実践”でリユース市場の信頼向上へ:太陽光
太陽光発電による電力の買い取り価格は引き下げが続いている。売電収益を確保するには発電設備の設置コスト低減が必要になるが、そこで注目されるのが中古(リユース)パネルだ。ネクストエナジー・リソースは中古パネルの信頼向上に向け、自社の発電設備に利用して実証を行う。
再生可能エネルギー事業を展開するネクストエナジー・アンド・リソース(以下、ネクストエナジー)は、中古の太陽光パネルだけを使用する自社所有の太陽光発電所を設置する。中古パネルの信頼性を実証することを目的に、2018年までに累計5MW(メガワット)を目標に設置を拡大していく方針だ。
2012年7月から始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)により、日本国内の太陽光発電市場は急速に拡大してきた。しかしFITによる電力の買い取り価格の引き下げが続いており、今後は事業収益性の観点から太陽光発電設備の設置コスト低減に向け、中古パネルの需要は高まっていくとみられる。
しかし中古パネルを利用する場合、気になるのは信頼性だ。現時点では発電実績が少ないため、中古パネルを用いた発電設備に対して発電事業者や太陽光発電関連のビジネスを展開する金融・保険会社の信頼が確立しているとはいえない状況にある。
そこで2005年から中古パネルのリユース事業を展開するネクストエナジーは、まず自社実践というかたちで中古パネルを用いた自社発電設備を設置し、信頼性を実証していく狙いだ。同時に運用保守サービスや評価・検査に関するノウハウを蓄積していく。同社は既に2015年6月に長野県駒ヶ根市の同社敷地内に、施工不良や自然災害の影響で使用を断念した中古パネルを利用する出力50kW(キロワット)の太陽光発電所を建設している。2015年内には同市内に300kWの発電所の建設にも着手する。
同社はこれまでに数万枚を超える中古パネルの検査・評価実績があるという(図1)。太陽光パネルの再利用に向けた環境整備が進めば、発電単価の低減も期待できる。同社では今後も積極的なパネルの買い取りを継続し、同時に中古パネルの活用方法のさらなる検討も進めていくとしている。
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