米LEDベンチャーの照明をアイリスオーヤマが販売、ノーベル賞中村氏らが創業:LED照明
生活用品製造卸のアイリスオーヤマは新たに、米国SORAA社のLEDランプの取り扱いを決めた。同社製品を照明関連の展示会「ライティングジャパン」で披露している。
アイリスオーヤマが製品の取り扱いを決めた、米国のLEDベンチャーであるSORAA(米国カリフォルニア州フリーモント)はノーベル物理学賞受賞者の中村修二氏らが創業した企業である。2015年4月に日本法人なども設立している(関連記事)。
SORAAのLEDランプは紫色の光を使用した「Gan on Gan LED」と3色の蛍光体により、赤色(R9)およびシアン色のスペクトルにすき間がなく、フルスペクトルを再現することができることが特徴だ。フルスペクトルの光を実現することにより、本来の自然に近い色彩表現を可能にし、衣料品、化粧品、紙、家電製品などの微妙な白さの違いを区別することが可能だという(図1)。このほか点光源の「Gan on Gan LED」を使用したランプとマグネットを利用した簡易アタッチメントを組み合わせることにより、光色や光の広がり、形を変えることもできるという。
アイリスオーヤマは、2009年からLED 照明市場に参入し、商品開発力と広範囲な販売ネットワークを生かし国内シェアを高めてきた。今回新たにSORAAのLEDランプを2016年3月から販売することを決めた。SORAA製品を自社ラインアップに加えることで、アパレルショップやホテル、カーディーラーなどの専門店への提案の幅を広げていく。さらに照明事業を通じてコスト削減だけでなく、日本の快適空間の構築につながる省エネルギー社会の実現に貢献していく考えだ。
中村氏もブースでSORAA製品を紹介
照明関連展示会である「ライティングフェア」では、SORAA製LEDランプをアイリスオーヤマブースで展示。展示会初日である2016年1月13日には中村修二氏もブースを訪問し、製品説明などを行った。
SORAAのLED照明は、これまで使用されてきた他の光源とは違い、人体に有害な紫外線の波長の放射がないとされており、中村氏は「身体にやさしい光を提供することができるようになる」と強調した。
2016年3月から発売するランプは、MR16、GU10、PAR20、PAR30、PAR38の5製品。このうちMR16の特徴についてSORAA社では「世界で最も効率的なLEDを利用し、大きさもハロゲンと同等で調光可能、そして密閉器具にも使用でき、効率の悪いハロゲンランプの代替には最適かつ理想的な製品」などと紹介している。
アイリスオーヤマでは今後、LED照明の高効率という特徴に加えて、より専門店業態への販路を拡大するために、「光の質」の付加価値を併せ持つ製品展開を図る方針だという。
関連記事
- ノーベル賞の中村教授が創設したLED照明メーカー、日本法人を横浜に設立
次世代のLED照明を開発する米国Sorra社が、横浜市の中心部にオフィスを開設して販売体制を強化する。ノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏が2008年に創設したベンチャー企業で、LEDの基板に窒化ガリウム(GaN)を採用して発光効率と演色性の高いLED照明を製品化している。 - 200lm/Wを達成、蛍光灯と交換して使える直管形LED
アイリスオーヤマは効率が200lm/Wと高い直管形LEDランプ「ECOHiLUX HE200」の発売を2015年6月に開始する。蛍光灯や旧型のLEDランプとの交換に向くという。あわせて直径が26.5mmと細い「ECOHiLUX 150S」も発表した。 - LED電球を導入する前に気を付けたい7つのポイント
既存電球のLED電球への入れ替えは、最も簡単に実行できて、大きな効果を期待できる節電対策だ。LED電球の価格下落も進み、LED電球に移行する人が増えている。しかし、LED電球の導入にはまだ注意すべき点がいくつかある。1つずつ紹介しよう。 - 「水銀条約」で置き換えが加速する水銀灯、省エネ+制御で高天井LED照明に商機
工場や倉庫内の照明のLED化が加速する兆しを見せている。省エネや長寿命、制御可能などLED照明の利点も大きな要因だが、市場を大きく動かしそうなのが2013年に成立した「水銀条約」である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.