電力需要が12月に前年比6.3%減、関西と四国は業務用が10%以上も:電力供給サービス
電力会社10社が2015年12月に販売した電力量は前年同月から6.3%も減り、過去15カ月間で最大の落ち込みを記録した。家庭用が6.9%、業務用が8.0%の減少で、産業用も4.6%減と振るわなかった。地域別では四国が8.5%減、関西が8.2%減と大きく、東京も7.5%減で販売量の低下が著しい。
12月は平年よりも気温の高い地域が多かったとはいえ、需要の減少傾向が加速していることは電力会社にとって深刻だ。10社が12月に販売した電力量は合計636億kWh(キロワット時)で、前年同月と比べて43億kWhも減少した(図1)。
用途別に見ると、オフィスで利用する業務用が8.0%も減ったほか、家庭向けの電灯も6.9%と大きく減っている。需要が最も大きい工場などの産業用は4.6%の減少で、業務用とともに20カ月連続で前年実績を下回った。2015年は4月と8月に家庭用が前年を上回った以外には、軒並みマイナスが続いている(図2)。
天候による暖房・冷房需要の変動はあるものの、業務用と産業用は電力会社から新電力へ契約を切り替える企業・自治体の増加が響いている。2016年4月から家庭用の電力でも小売の自由化が始まると、同様の傾向が拡大することは確実だ。
地域別の12月の販売量は沖縄を除く9社がすべての用途で前年を下回った(図3)。特に減少が目立つのは関西と四国で、業務用は10%以上も減っている。東京の落ち込みも激しい。業務用は9.5%減、全体でも7.5%減を記録した。市場が大きい地域の中では中部が4.9%減にとどまっている。家庭用は大幅に減ったが、業務用と産業用が他の地域ほど減少しなかったためだ。
沖縄だけは前年の実績を6.9%も上回った。家庭用が8.6%増で、業務用は15.2%も増えている。12月でも最高気温が20度を超える日が多く、冷房需要が増加したためとみられる。暖冬は沖縄電力には追い風になる。
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