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日本の新しい省エネ政策、「3つの柱」でエネルギー需要削減へ:法制度・規制(2/2 ページ)
経済産業省は2030年度のエネルギーミックスに向けた省エネ目標の達成に向け、新し省エネ政策の検討を進めている。「エネルギー原単位の改善」「エネルギー管理の単位の拡大」「サードパーティの活用」の3つを柱に、より実効性のある省エネ施策を整備していく方針だ。
現場の実態に合わせた省エネ支援策を
現行の省エネルギー法では、事業者単位での省エネを評価・報告する仕組みになっている。地縁的一体性が認められ、かつ事業者間で省エネ法上の義務を負うことについて合意がある場合などは、特例としてエネルギー管理義務を他事業者が行うことができるが、非常に限定的な制度になっている。
そこで「エネルギー管理単位の拡大」では、事業者単位ではなく、サプライチェーンやグループ会社単位など、エネルギー管理の実態に合わせた省エネが促進されるような評価・支援の仕組みを構築していく方針だ。
中小企業・消費者の省エネに向けて
3つ目の柱となる「サードパーティの活用」がターゲットとするのは、中小企業や消費者の省エネだ。省エネ法による直接的な規制がおよびにくい中小企業や消費者については、これまでトップ ランナー基準により個々の機器の省エネ性能の向上を促し、こうした機器が買い替えなどで導入されることで省エネを進めてきた。しかし、より直接的に中小企業や消費者にアプローチできるサードパティを活用し、より効率的に省エネを図ろうという狙いだ。
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