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県営の小水力発電所の電力を高く売れる、年間で1億9000万円の収入に自然エネルギー(1/2 ページ)

長野県は建設中の2カ所の小水力発電所の電力を新電力に売電することを決定した。いずれも2017年4月に運転を開始する予定で、合計で1750世帯分の電力を供給できる。新電力は固定価格買取制度の単価に0.5円を上乗せして買い取り、東京・中部・関西電力の管内で販売する計画だ。

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 小水力発電所で新たに売電の対象になるのは、長野県の企業局が2013年から建設を進めてきた「高遠(たかとお)発電所」と「奥裾花(おくすそばな)第2発電所」の2カ所である(図1、図2)。


図1 「高遠発電所」の完成イメージ。出典:長野県企業局

 発電能力は高遠発電所が180kW(キロワット)で、奥裾花第2発電所は980kWと規模が大きい。それぞれ年間に125万kWh(キロワット時)と507万kWhの電力を供給できる見込みだ。両方を合わせると一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して1750世帯分に相当する。


図2 「奥裾花第2発電所」の完成イメージ。出典:長野県企業局

 2カ所とも2017年4月1日に売電を開始する予定だ。長野県が当初の3年間の売電先を公募して、3社の応募の中から丸紅グループの丸紅新電力を選定した。買取価格が高かったことに加えて、信州発の自然エネルギーをアピールする提案内容を評価した。

 丸紅新電力は固定価格買取制度の単価に0.5円を上乗せして電力を買い取る。発電能力が200kW未満の高遠発電所は1kWhあたり34.5円(税抜き)で、200kWh以上の奥裾花第2発電所は買取価格が29.5円になる。2カ所を合わせた長野県の売電収入は年間に1億9000万円を超える見通しだ。通常の買取価格で売電した場合と比べて約300万円の収入増になる。

 買い取った電力は新電力の「みんな電力」が東京・中部・関西電力の管内で販売する予定だ。みんな電力は東京都の世田谷区を拠点にして、再生可能エネルギーによる電源の開発と電力の販売を広域に展開している(図3)。


図3 みんな電力の事業モデル。PPS:新電力。出典:みんな電力

 その一環で2016年4月の小売全面自由化に合わせて「ENECT(エネクト)」と呼ぶユニークなサービスを開始した。「生産者の顔が見える電力」が特徴で、消費者が応援したい発電所を選んで電力を購入できる(図4)。


図4 生産者の顔が見える電力小売サービス「ENECT」の仕組み。出典:みんな電力

 基本料金の中にENECTのシステム利用料(月額500円)を上乗せする代わりに、応援した発電所から地元の特産品などが送られてくる仕組みだ。これから運転を開始する長野県の小水力発電所から電力を購入すると、地元の見学ツアーや県産品のプレゼントがある。

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