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蓄電池で太陽光発電の利回り13%

既存の太陽光発電所と、さら地を組み合わせることで、高額FIT権を最大限に生かす製品が現れた。ニプロンの「PV eXpander 100」だ。さら地に太陽電池モジュールを増設、リチウムイオン蓄電池と組み合わせることで、発電した電力を捨てずにためて売ることが可能になった。

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 「追加の太陽電池モジュールとリチウムイオン蓄電池を太陽光発電所に導入することで、条件次第ではあるものの、表面利回り13%以上を期待できる。このような日本初の技術を開発した」(ニプロン)。

 どのように利益を上げるのだろうか。「既存の太陽光発電所には買い取り価格40円で運用しているものがある。この権利を利用する。周辺のさら地に太陽電池モジュールを含む新製品『PV eXpander 100(PVX100)』を増設してつなぐ。既設の発電所から数百メートル離れたさら地でも大丈夫だ」(同社)。

 さら地を利用して、独立した太陽光発電所を新たに立ち上げた場合、買い取り価格は21円(税別)にとどまる。ところが、ニプロンの新製品を用いると40円となる。高額FIT権を最大限に生かした形だ(図1)。

 同社は「第7回国際スマートグリッドEXPO」(2017年3月1日〜3日、東京ビッグサイト)に、PV eXpander 100を初展示(西1ホール W8-44)。太陽光発電所の計画に合わせて、最適な導入法を紹介する。


図1 既存の売電量とPV eXpander(PVX100)の売電量の関係

利回り13%は実現できるのか

 PV eXpander 100を導入した場合、実際にはどの程度の利益が得られるのだろうか。

 既設の太陽光発電所の出力が1メガワット(MW)、ここにさらに1MWの太陽電池や蓄電池を増設した場合、初期費用は2億9000万円強になる。初期費用にはPV eXpander 100の費用の他、設置工事(太陽電池の架台と電材、蓄電設備の設置費用)を含む。

 既設の発電所の運用開始から1年後、PV eXpander 100を導入したとしよう。大阪府に新設した場合、売電増加量は年間平均98万762キロワット時(kWh)となる。1kWh当たり40円で売電すると、年間売電額は平均3923万465円だ。この結果、表面利回りは13.4%となる。

 売電単価が36円の場合は、同様に12.1%だ。


図2 導入シミュレーションの一例 既設の発電量(薄青)、既設+増設の発電用(青)、増加量(濃い青)を示した

過剰な電力を蓄電池に充電、その後売電

 次にPV eXpander 100を導入することで、なぜ発電量が増えるのかを紹介する。

 今回の新製品では、発電した電力を交流に変換する既設の「パワーコンディショナー」には手を付けない。発電量だけを増やす。これで売電量が増える計算だ。

 だが、パワーコンディショナーには扱うことができる電力の上限(定格容量)がある。例えば1MWだとしよう。既存の太陽光発電所の設置容量が1MW、さらに1MWを増設した場合、問題が生じそうだ。正午には最大2MWの電力がパワーコンディショナーに流れ込んでしまう。パワーコンディショナーの定格容量を超えている。これではうまくいかない。

 そこで、ニプロンが開発したDC/DCコンバータ(GBM電源)が、パワーコンディショナーの定格容量を超えない範囲で電力を送り込む。ピーク時の電力は設置した蓄電池が吸収。パワーコンディショナーの能力に余裕がある時間帯に電力を送り込む。

 電流を川の流れに例えてみよう(図3)。新たに別の川の流れ(支流)を本流につなげる場合、放水弁を設けることで水量を調整できる。支流の放水量をうまく調整すれば、本流の水量は一定に保たれるからだ。放水弁でせき止められた水はダムに蓄えられ、本流の水量が少ないときに放水できる。

 図3に示した支流とダムの組み合わせが、PV eXpander 100に相当する。


図3 PV eXpander 100の働きを川の流れに例えた

蓄電池で時間差売電

 ダムの例えをもう少し実際に即した形で説明すると図4のようになる。

 既設の太陽光発電所の状態を、空色の斜線で示した。縦軸で示した発電量は常にパワーコンディショナーの定格容量(赤い横線)を下回っている。

 さら地に太陽電池を増設すると、発電量が増える。朝夕はパワーコンディショナーの能力に余裕があるため、増えた電力(桃色の斜線)をそのまま売電できる。ところが、日中は発電電力がパワーコンディショナーの能力を超えてしまう(オレンジ色の斜線)。これをPV eXpander 100が備えるリチウムイオン蓄電池に蓄える。その後、パワーコンディショナーの能力に余裕がある時間帯に売電する。


図4 一日の発電電力とパワーコンディショナーの能力の関係

設置イメージはどうなる

 PV eXpander 100は、主に3つの部材からなる。約100kW分の「太陽電池モジュール」と、電圧を最適値に変換する「PVマキシマイザー(PVM)」「蓄電システム盤(リチウムイオン蓄電池)」だ(図5)。

 100kWとは太陽電池モジュールの容量を意味する。リチウムイオン蓄電池が蓄えられる電力量(容量)は40kWh。

 新設する太陽光発電所の出力を1MWにする場合、どうすればよいのだろうか。PV eXpanderを10セット導入する。

 別途増設用蓄電システム盤を設置することで、蓄電池の容量を順次増やすことも可能だ。先行導入した設備の売電量を記録し、投資効果を見ながら増設できる。

 PV eXpander 100は顧客の発電所の状況などに応じて幾つかのタイプから選択できるようになっている。パワーコンディショナーの入力電圧が600ボルト(V)の場合と1000Vの場合に応じた選択が1つ。もう1つは増設する太陽電池モジュールの種類だ。国産の薄膜タイプか、海外のシリコン結晶系タイプを選択できる。


図5 PV eXpander 100のパッケージ内容

 敷地に設置したイメージを図6に示す。ほとんどの面積は増設した太陽電池モジュールが占め、PVマキシマイザーは太陽電池モジュールの背面に、蓄電池は蓄電システム盤内に配置されている。


図6 既設発電所と増設部分のレイアウト例 1MW増設に必要な土地面積は約1万平方メートル

パワーコンディショナーを選ばない

 既設部分と増設部分は図7のように接続する。既設部分にはほとんど手を加えないことが分かる。唯一、小さな白い箱で示した部分を変更する(PCSのすぐ左)。

 この部分には電流センサーが組み込まれており、既設の太陽電池モジュールがどの程度の電流をパワーコンディショナー(PCS)に送り込んでいるのかをリアルタイムに測定。測定データを「100kW蓄電システム」のうちの1台(マスター)に送り込む。マスターは空き容量を計算して、パワーコンディショナーに送り込むことができない余剰分を蓄電する。

 このような仕組みを採っているため、パワーコンディショナーと直接通信する必要がない。言い換えれば、パワーコンディショナーのメーカーによらず、PV eXpander 100を導入できる。


図7 PV eXpander 100の接続イメージ

提供:株式会社ニプロン
アイティメディア営業企画/制作:スマートジャパン 編集部/掲載内容有効期限:2017年3月19日

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