水素で200キロ走る燃料電池バス、東京都心で運行開始へ:電気自動車(1/2 ページ)
東京都の交通局が水素社会の実現に向けて燃料電池バスの運行を3月21日に開始する。トヨタ自動車が市販する燃料電池バス2台を導入して、東京オリンピック・パラリンピックの会場周辺と東京駅を結ぶ。車体の上部に搭載した燃料電池2基と水素タンク10本で200キロメートルの走行が可能だ。
いよいよ燃料電池で走るバスが東京都内で運行を開始する。東京都の交通局は3月21日(火)から、2台の燃料電池バスを路線の1つで運行させる予定だ。トヨタ自動車が市販する「トヨタFC(燃料電池)バス」の都営バス仕様を導入する(図1)。市販の燃料電池バスを営業運行させるのは国内で初の取り組みになる。
運行する路線は公共交通のかなめになる東京駅と湾岸地域にある「東京ビッグサイト(東京国際展示場)」を結ぶ「都05系統」である(図2)。東京ビッグサイトは2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは報道センターに使われる場所だ。路線の途中にある「有明テニスの森」はテニスと車いすテニスの会場になる。
東京オリンピック・パラリンピックでは水素エネルギーを最大限に活用する予定で、交通手段として燃料電池自動車や燃料電池バスを大量に導入する。東京都は都営バスを中心に2020年までに燃料電池バスの台数を増やしていく。
市販車のトヨタFCバスには燃料電池自動車の「MIRAI」向けに開発した技術や機器を搭載している。水素から電力を作る燃料電池スタックはMIRAI用の2基を組み合わせて、最大で228kW(キロワット)の電力を供給できる(図3)。圧縮した水素を格納するタンクもMIRAIと同じ仕様のものを10本搭載する(MIRAIは2本)。
燃料電池バスを導入するメリットは従来のガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載したバスのような排気ガスがなく、水だけを排出する点にある。CO2(二酸化炭素)の排出量が少なくなって、騒音も低減できる。このところ増えてきたハイブリッドバスやCNG(圧縮天然ガス)バスと比べても環境性能は高い。
トヨタFCバスは水素タンクが満タンの状態で200キロメートルを走行できる(図4)。水素タンク10本を空の状態から満タンにするまでに10〜15分程度かかる。都営バスの営業運行に合わせて、岩谷産業が3月6日(月)に「イワタニ水素ステーション 東京有明」を湾岸地域に開業する予定だ。
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