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「超電導ケーブル」実用化へ、損失を90%以上削減:省エネ機器(2/2 ページ)
昭和電線ケーブルシステムは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の省エネルギー技術革新プログラムで、超電導ケーブルが実用化開発フェーズとして採択されたと発表した。
NEDOが進める高温超電導技術
高温超電導技術の実用化には、NEDOが4つのプロジェクトに着手している。2016年5月の発表によると、電力分野では直流・交流ともに一定距離の送電が可能なことが実証されており、安全性確保への技術確立と復旧ガイドライン策定を進めているという。
運輸分野では、低損失・大容量送電が可能な鉄道き電線(電車線に電力を供給する電線)システム開発と、安全性および信頼性の実証を実施。都市部を中心とした鉄道輸送力を高める送電技術を開発し、重要な課題である長距離冷却技術を実証する。
産業分野では磁気共鳴画像装置(MRI)分野への適用を狙う。高価であることに加えて供給が不安定という課題があるヘリウムを必要とせず、省エネルギーでシェア拡大につながる高温超電導高磁場マグネットシステムの開発に取り組む。
また超電導応用商品実現のために、超電導マグネット用途の要求を満たす磁場特性の向上とコスト低減を目指す高温超電導線材の技術開発を実施するとした。
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