ため池に太陽光パネルを浮かべる、香川さぬき市で完成:太陽光
日本アジア投資は、ため池の上に太陽光パネルを浮かべる水上メガソーラー発電所の売電を開始したと発表した。一般家庭約840世帯分の年間電力消費電力に相当する電力を生むという。
ため池の上に太陽光パネルを浮かべる
日本アジア投資は2017年5月、ため池の上に太陽光パネルを浮かべる水上メガソーラー発電所「野間池ソーラー発電所」(香川県さぬき市)の売電を開始したと発表した。太陽光パネル設置容量ベースで最大出力は2.4MW(メガワット)、年間発電量は約299万kWh(キロワット時)。一般家庭約840世帯分の年間電力消費電量に相当するという。
発電した電力は1kWh当たり36円(税別)で、四国電力に売電する。総事業費は約8億円で、そのうち約80%を香川銀行からのプロジェクトファイナンスから調達した。
同社によると、水上メガソーラー発電所は地上に建設する発電所と比べ、パネルを浮かべる設備が必要な一方で、複数のメリットがある。例えば、ため池周辺は遮蔽(しゃへい)物が少なく、日照条件の良好な場所に建設できる。
パネルの設置面を平たんにする造成工事が不要なこと、水面による冷却効果でパネルやケーブル類の過剰な温度上昇が抑制され、発電効率が良いことも挙げられる。なお野間池ソーラー発電所は、同社として初の売電開始に至った水上メガソーラーとなる。
「御田神辺池」でも水上メガソーラーを
同社は2017年2月に同じく香川県さぬき市の「御田神辺池(みたかべいけ)」で、水上メガソーラーを建設することも発表している。パネルをフロート架台で浮かべる方式で、太陽電池パネル設置容量ベースで最大出力は1.52MW。年間発電量は約187万kWh、一般家庭約530世帯分の年間電力消費量に相当するという。2017年8月から売電を開始する。
発電した電力は1kWh当たり32円(税別)で、四国電力に売電する。総事業費は約5億円で、そのうち約85%を香川銀行からのプロジェクトファイナンスから調達した。
同社は売電収入による安定収益獲得のため、2018年3月末までに100MW規模のメガソーラーを稼働させる計画である。2017年3月末時点で投資したプロジェクトは、売却済みの案件を除き、合計で23件 113.8MW(同社の出資持分は67.0MW)まで拡大した。
一部のプロジェクトは、売却して早期の収益機会も獲得していく方針という。その1つとして、2017年3月には日本再生可能エネルギーインフラ投資法人に対して、売電中のメガソーラー発電所のうち5件 17.7MW(同社の出資持分は16.6MW)を売却した。2017年3月期の財務諸表では、同売却に伴う利益約7.7億円が営業利益に計上されている。
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