豊橋市が国内最大規模の複合バイオマス施設を公開、1890世帯分の電力を生む:自然エネルギー
愛知県豊橋市は、2017年10月から稼働する国内最大規模の複合バイオマス施設を公開した。生ごみや下水道汚泥などをメタン発酵して取り出したバイオガスで発電する他、発酵後の汚泥を炭化燃料として利活用する。一般家庭換算で約1890世帯分に相当する電力を発電するという。
完全エネルギー化を実現
愛知県豊橋市は、2017年10月から稼働する国内最大規模の複合バイオマス施設「豊橋市バイオマス利活用センター」(同市神野新田町)を公開した。同センターはPFI(Private Finance Initiative)手法により、同市上下水道局管轄内の中島処理場にバイオガス化施設を整備しているものだ。生ごみや下水道汚泥などをメタン発酵して取り出したバイオガスで発電する他、発酵後の汚泥を炭化燃料として利活用する。
バイオガスはガス発電のエネルギーとして利活用し、一般家庭換算で約1890世帯分の電力に相当する年間680万kWh(キロワット時)の電力を発電する。メタン発酵後に残った汚泥は炭化燃料に加工し、完全エネルギー化を実現するという。
豊橋市では10月からの運用開始に先駆け、2017年4月から生ごみの分別収集を開始しており、4月の総収集量は約1156トンだった。4月の第1週は目標量の7割程度の結果となったが、第4週には9割を超える状況となり、順調なスタートを切ったとする。
豊橋市上下水道局は「ごみだったものを、エネルギーに変えるという新しい取り組み。環境に対する新しい時代を切り開く施策として、530(ゴミゼロ)運動発祥の地である豊橋らしく、行政と民間、市民が一緒になった取り組みを進めていきたい」と語る。
530(ゴミゼロ)運動とは「自分のゴミは自分で持ちかえりましょう」を合言葉に、豊橋市から始まり全国に広がった環境美化運動である。豊橋市では春と秋の年2回、5月30日の「ゴミゼロの日」と11月11日の「市民の日」を中心に、全市一斉の530運動を行うようになり、年間10万人を超える市民が参加する一大イベントとなっている。
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