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火力発電の故障を1カ月前に検知、計画外の停止を短縮:IT活用
ITを活用して、プラントや発電所の稼働率を高める取り組みが進んでいる。東京電力フュエル&パワーと三菱日立パワーシステムズは、過去の設備トラブル事例のデータを活用した「予兆検知モデル」を開発し、発電所の故障原因を1カ月前に検知することに成功した。
2016年9月から、国内外の火力発電所の効率化に向けた業務提携を進めている東京電力フュエル&パワー(東京都千代田区、東電FP)と、プラントメーカーの三菱日立パワーシステムズ(横浜市、MHPS)。両社はその後、火力発電分野におけるO&Mソリューションサービスの事業化に向けた取り組みを進めている。
その一環として、このほど東電FPの「常陸那珂火力発電所」(茨城県東海村)で、予兆検知モデルを構築した。これまで蓄積してきた過去の設備トラブル事例のデータをモデル化したもので、O&Mへの有効性を確認できたという。具体的には、発電所停止の一因となるボイラーの配管に穴が開き、内部の蒸気が漏れ出すトラブルである「チューブリーク」を1カ月前に予兆検知することに成功した。これにより緊急停止の回避やトラブルによる計画外停止期間の短縮など、発電設備のアベイラビリティ(運転可能な時間割合)の向上が認められたとしている。
現在、具体的なサービスとしての展開に向けて開発した予兆検知モデルを、フィリピンのティームエナジーが運営する石炭火力の「パグビラオ発電所」(フィリピン・ケソン州、出力37.5万kW×2基)へ適用を進めている。
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