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太陽光パネルの下でキクラゲ栽培、宮城県でソーラーシェアリング自然エネルギー

宮城県の登米市と加美町で、太陽光発電と農業を同時に行うソーラーシェアリングが始まる。太陽光パネルの下ではキクラゲを栽培する計画だ。

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 再生可能エネルギー事業を展開するサステナジー(東京都港区)は、新たに2カ所の太陽光発電所を建設し、キクラゲ栽培を両立するソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)を開始すると発表した。

 「登米善王寺太陽光発電所」(宮城県登米市)および「加美八幡堂太陽光発電所」(宮城県加美町)の2カ所で、太陽光発電の出力規模はともに2MW(メガワット)。今回の案件では、日立キャピタルが太陽光発電設備のプロジェクトファイナンス型リースを提供し、大和ハウス工業が設計・調達・建設(EPC)と保守(O&M)を担当する。


「登米善王寺太陽光発電所」の外観(クリックで拡大) 出典:大和ハウス

 既に2017年6月から設置した太陽光発電パネル下部の農地でキクラゲの栽培を開始している。全ての敷地を使用して栽培すると、年間約4万kgの収穫量になるという。太陽光発電は2017年9月末から発電する計画で、全量を東北電力へ売電する予定だ。

 ソーラーシェアリングは、農地の有効活用ならびに再生可能エネルギーの普及を目的として、営農の継続を条件に耕作放棄地などを一時転用し、営農を継続しながら上部の空間に太陽光発電システムを設置するもの。耕作放棄地の有効活用や新たな雇用創出などによる地域の活性化が見込める事業モデルとして、ソーラーシェアリングを行う設備を設置するための農地転用許可の件数はこれまで累計770件以上(農林水産省資料より)あり、さらなる普及が期待されている。

 ソーラーシェアリングは、日射を必要とする作物を生産するために小型の太陽光パネルを採用し、下部の農地にも太陽光を採り入れるのが一般的だ。しかし今回の案件では、太陽光発電システムを建設することによってできる影を活用し、日射の不要なキクラゲを栽培作物として選定した。


「加美八幡堂太陽光発電所」でのキクラゲ菌床栽培の様子(クリックで拡大) 出典:大和ハウス

 キクラゲは国内で流通している商品の9割以上が中国からの輸入に依存しており、希少価値の高い国産品はニーズが高く、今後の販路拡大が見込める農産物という。営農については、2017年6月から宮城県の農業生産者であるアグリ古川農産(宮城県大崎市)とスワンドリーム(宮城県栗原市)が地元の人たちを新たに雇用し栽培を開始している。

 サステナジーは2009年から東北地域を中心に中小規模の再生可能エネルギー事業に取り組んできた。太陽光発電事業をはじめ、2014年には岩手県紫波町で木質バイオマスを利用した地域熱供給事業を開始している。今後も今回のソーラーシェアリング事業をはじめとする耕作放棄地の有効活用、地元雇用の創出など、地域に貢献できる取り組みを強化していく方針だ。

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