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バイオマス発電の熱活用を成功させるには? 林野庁が事例公開自然エネルギー

林野庁は「木質バイオマス熱利用・熱電併給事例集」を公開した。成功事例を公開することで、小規模でも事業全体では高いエネルギー効率が見込める熱利用・熱電供給事例の普及を後押しする狙いだ。

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 林野庁では、木質バイオマスによる熱利用や熱電併給の普及を目的に、「木質バイオマス熱利用・熱電併給事例集」をこのほど取りまとめた。


林野庁が作成した「木質バイオマス熱利用・熱電供給事例集」(クリックで事例集の掲載ページへ)

 木質バイオマスは、近年、発電用や熱利用向けに活用が進んでいる。特に2012年7月に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)」が導入されてから、木質バイオマスを燃料とする発電所が増加し、2017年3月末時点で、全国で61カ所、発電出力合計64万kWの木質バイオマス発電所が稼働している。このうち、39カ所の発電所では、燃料に間伐材などの未利用木材を中心に利用しているという。こうした背景から、エネルギーとして利用された間伐材などの木質バイオマスの量は、2012年の81万立方メートルから、2016年には433万立方メートルへと5倍以上に増加している。

 木質バイオマス発電のエネルギー変換効率は低く、蒸気タービンの場合は一般的に20%程度、高くても30%程度となっている。これを上げるには、発電施設を大規模にする必要があるが、それに応じて海外を含め広い範囲から木質バイオマスを大量に収集しなくてはならないため、事業化に向けたハードルは高くなる。

 一方、熱利用や熱電併給については、小規模な施設であっても80%程度のエネルギー変換効率を実現することが可能であり、初期投資も小さくて済む。そのため、小規模な地域でも導入しやすい木質バイオマスの利用形態として注目されている。ただ、熱利用および熱電併給に当たっては、事業者自らが熱の需要先を開拓する必要があること、熱の販売価格が固定されていないことなどから、事業開始に向けては事前の慎重な検討が欠かせない。

 このため、林野庁では、木質バイオマスによる熱利用・熱電併給を進めるため、都道府県の協力を得て、各地における熱利用・熱電併給の取組事例を収集・整理した「木質バイオマス熱利用・熱電併給事例集」を取りまとめた。同事例集では、これから熱利用・熱電併給に取り組もうとする事業者など参考となるよう、全国39件の取組事例について、実施体制や燃料(まき、チップ、ペレットなど)、熱利用施設、収支などに関する詳細な情報を分かりやすく記載している。また、巻末には、キーワード検索を入れることにより、必要な情報を探しやすくした。

 林野庁では、同事例集の林野庁ホームページへの掲載や、幅広い関係者への配布により、取組みの普及を図る方針だ。

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