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メタノールで直接発電する新型燃料電池、NTTドコモの基地局を支える蓄電・発電機器

NTTドコモが通信基地局に、フジクラが開発を進めている新型燃料電池を実証導入。メタノールで直接発電する世界初をうたう燃料電池だ。太陽光発電などと連携運用を行い、緊急時でも基地局を稼働できるようにする。

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 NTTドコモと非鉄金属メーカーのフジクラは、フジクラが開発を進めている直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell)方式を用いた世界初という定格電力1kW(キロワット)の燃料電池を、NTTドコモの携帯基地局に導入する共同実験契約をこのほど締結した。

 開発中の燃料電池は、メタノールと空気中の酸素を化学反応させて高効率に電気を起こし、有害物質も発生しないなどの特徴がある。従来の燃料電池は大型で定置型だったが、同燃料電池は本体サイズが460×460×650mm(ミリメートル)、重量は約70kg(キログラム)と小型で可搬性に優れる。そのため、狭い場所やビルの上にある小さな基地局への設置、および災害発生時に被災地域へ持ち込むといった利用が可能だという。

 燃料電池を基地局に適用する際の運用時間も、従来の3日間から4日間(5台で5kW、燃料200リットルの場合)に延ばすことができ、これまで以上に長時間運用が可能となったことで災害時の停電などへの活用が期待される。さらに、NTTドコモが開発を進めているソーラーパネルを搭載する「グリーン基地局」と燃料電池を連携運転させることで、系統からの電力が遮断されても、1週間以上の基地局の運営が行えるという。


導入する燃料電池と、NTTドコモのグリーン基地局の外観 出典:フジクラ

 共同実験では、NTTドコモが高知県南国市で運用しているグリーン基地局に、新型燃料電池を設置し、災害発生時の長期停電発生を想定したときの燃料電池単体の運用特性を評価する。さらに、グリーン基地局のソーラーパネル、蓄電池と連携運転させたときの長期間運用特性を検証し、燃料電池の耐災害特性の有効性や信頼性を実証する。なお、実験に用いるグリーン基地局はソーラーパネルや蓄電池の他、自家発電電力と購入電力の最適切り替え制御、太陽光パネルの発電量監視および保守などの機能が搭載されている。

 NTTドコモは実験でグリーン基地局側の燃料電池接続構成の検討、燃料電池の単独運転、ソーラーパネルとの連携運転試験を担当する。フジクラは燃料電池本体の開発に加え、電源および制御インタフェースの実装などを行う。実証期間は2017年12月20日〜2018年9月30日までの予定だ。

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