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太陽光関連の倒産が過去最多に、3年連続で更新太陽光

東京商工リサーチは、2017年の「太陽光関連事業者」倒産が過去最多を更新したと発表した。倒産件数は88件で、倒産件数の過去最多更新は3年連続となる。

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 東京商工リサーチは、2017年(1〜12月)の「太陽光関連事業者」倒産が過去最多を更新したと発表した。倒産件数は88件(前年比35.4%増)で、調査を開始した2000年以降で最多だった2016年の65件を大きく上回った。倒産件数の過去最多の更新は3年連続。


太陽光関連事業者の倒産年次推移 出典:東京商工リサーチ

 上半期(1〜6月)だけで47件(前年同期比56.6%増)発生し、2015年の年間件数(54件)に迫る水準だった。下半期(7〜12月)は41件(同17.1%増)で、上半期よりペースは若干鈍化したが、前年同期を上回っている。

 負債総額は285億1700万円(前年同期比17.6%増)で、4年連続で前年を上回った。負債額別での状況をみると、最多は1億円以上5億円未満の30件(構成比34.0%)。前年との比較では10億円以上の大型倒産が6件と倍増し、2017年最大の大型倒産はZEN POWER(福岡県)の負債52億円。太陽光発電モジュールの組み立て、販売を手掛けていたが、大口焦付や欧州でのモジュール価格の下落、国内のFIT買い取り価格の引き下げなどで受注が大幅に落ち込んだ。


負債額別で見た太陽光関連事業者の倒産状況 出典:東京商工リサーチ

 2012年7月に再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)の固定価格買取制度(FIT)が導入され、太陽光関連市場は急速に拡大した。しかし、市場への参入が相次ぎ、事業者の乱立やFIT買い取り価格の引き下げなどで状況が一変。さらに太陽光以外の再生可能エネルギーへの緩やかな政策誘導も追い打ちをかけ、関連事業者を巻き込みとう汰が進んでいる。

 原因別では、「販売不振」が最も多く42件(構成比47.7%)とほぼ半数を占めた。次いで、「事業上の失敗」が13件(同14.7%)、「既往のシワ寄せ」が9件(同10.2%)と続く。

 前年との比較で増加が目立ったのは、「売掛金回収難」の300.0%増、「既往のシワ寄せ」の125.0%増だった。ISHIO(和歌山県)は住宅向けリフォーム、太陽光発電装置の設置工事などを手掛けていたが、リフォーム工事で回収不能(売掛金回収難)が生じ、事業継続ができなくなった。

 また、2017年9月に大分地裁から破産開始決定を受けた、にしもと(大分県)は、塗装工事を主業としていたが、2015年6月期に太陽光発電設備の設置工事に参入し、不慣れから赤字を散発した。光回線の営業代理を手掛ける企業を母体として2012年に設立された北電テクノ(北海道)は、当初は好調な業績を計上していたが、その後の太陽光関連補助金の終了や縮小などで受注が減少、2017年11月に札幌地裁から破産開始決定を受けた。

 このように太陽光関連事業者の倒産は、成熟市場のプレイヤーが業容拡大を求めて参入したものの、ノウハウ不足や安易な事業計画で経営が立ち行かなくなるケースが目立つ。

 太陽光モジュールや架台、設置工事の値下げ圧力は加速しており、太陽光関連事業者は技術革新や工法の最適化などで市場ニーズに合った単価で、製品・サービスを提供できるか問われている。このような状況に対応できない太陽光関連事業者のとう汰は避けられないとみられ、東京商工リサーチでは2018年も引き続き高水準で倒産件数が推移すると見込んでいる。

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