住宅太陽光の余剰電力を“預かる”新発想、東京電力がサービス実証へ:太陽光
東京電力エナジーパートナーが、住宅太陽光の余剰電力を仮想的に“預かる”というユニークなサービスの実証を開始する。蓄電池を導入していない住宅でも、太陽光の余剰電力を有効できるようになる可能性があるという。
2019年から「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」に基づく電力の買い取り期間が終了する住宅太陽光が登場しはじめる、いわゆる“住宅太陽光発電の2019年問題”。これを見据え、蓄電池を活用した自家消費など、FIT期間終了後に発電した電力をどのように生かすのかに大きな関心が集まっている。
この2019年問題に向け、東京電力エナジーパートナー(東電EP)は住宅太陽光の余剰電力を“預かる”とう新しいサービスの実証を開始すると発表。蓄電池を導入していない住宅でも、余剰電力を有効利用できるメリットが期待できるという。
この実証は、東電EPが木造ハウスメーカーであるトヨタウッドユーホーム(栃木県宇都宮市)と共同で実施する「次世代スマートタウンプロジェクト」の一環。このプロジェクトはトヨタウッドユーホームの新規大型分譲地の戸建住宅を対象に、エネルギーやIoTを軸とした新しいサービスの実証を行い、その実用化を目指すもの。栃木県内の3カ所の分譲地で、合計552区画を対象に実証を行っていく計画という。
このプロジェクトの一環として行う「電気のお預かりサービス(仮称)」は、太陽光発電を導入している住宅から、家庭の消費電力量と太陽光パネルの発電(売電)量のデータなどを東電EP側に提供してもらう。このデータを分析し、住宅で使い切れない余剰電力を、東電EPが一時的に“預かった”とみなす。預かった電力は、その家庭が実際に使用するときに返したり、他の家庭とシェアできるようにしたりする計画だ。このサービスによって、蓄電池を導入していない住宅でも、太陽光の余剰電力を有効活用できるようにする狙い。実証ではこうした仕組みの構築や、料金体系などを検証していく。
実証期間は2018年7月〜2019年3月までを予定している。この他、スマートホーム機器と専用の電気料金プランを利用してもらう実証も行う計画だ。
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