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2004/04/01 00:00 更新

通信と放送の非融合〜何が両者の間を隔てているのか?〜
第10回 テレビに双方向機能は必要か〜ヨーロッパに見る通信と放送の融合(2)

今回よりヨーロッパにおける実際の双方向サービス事例を検証しつつ、テレビに双方向性を持たせる意味を具体的に考えてみたい。

双方向サービスの提供状況

 ヨーロッパでは双方向サービスが放送デジタル化のメリットの一つとされていたが、サービスを本格的に利用するためにはデジタル放送の受信環境を整えると同時に受信機に電話回線を接続しなければならない。

 利用者にとってこのハードルは高いと思われるが、デジタル放送の担い手である有料多チャンネル・プラットフォーム事業者が電話回線接続を呼びかけたこともあり、こうした条件を満たす世帯数は増えつつある。

各国の双方向世帯数

 現在一般的に提供されている双方向サービスは、ゲームやテレビショッピングなど単独サービスを提供する独立型サービスと、放送番組内容に関連する情報やサービスを提供する番組連動型サービスに分けることができる。

 下の表は主要国で視聴できる双方向チャンネルの状況をまとめたものである。国により提供形態は異なるが、それはサービス提供主体である放送プラットフォーム事業者の方針によるところが大きい。ここで、多彩なサービスを提供するイギリスのデジタル衛星放送Sky Digitalを例に二種類の双方向サービスの内容を詳しく見ていきたい。

主要国の双方向チャンネル提供状況

イギリスの双方向チャンネル提供状況

 2003年7月現在、イギリスではデジタル放送プラットフォーム上で84の双方向チャンネルが提供され、その約4割をエンターテイメント系、ゲーム系が占めている。そしてプラットフォーム別で見ると最も多く双方向チャンネルを提供しているのがデジタル衛星放送事業者BSkyBのSky Digitalである。

イギリスのジャンル別双方向チャンネル本数

独立型双方向サービス〜テレビでサッカーを見ながらピザを注文?

 BSkyBはデジタル化を機にテレビ画面上で情報サービスを提供する「Open...」という双方向ポータルを開設した。「サッカー中継を見ながらテレビ画面上でピザを注文できる」と当時頻繁に使われたフレーズが典型的に示すように、テレビ一台で必要な用事を済ませられる利便性が強調された。

しかしポータルからアクセスできる情報は電子メールやショッピング、旅行情報などプラットフォームが囲い込んだコンテンツに限定され、テレビ画面を利用するものの放送内容と関係しないものが主体である。「独立型」サービスと呼ばれるのもそのためである。

Open...のメニュー画面

Open...のメニュー画面

 テレビ画面上で商取引が成立すれば、その場を提供する放送事業者は手数料などの形で収入を得ることができるため、「Open...」の取り組みは国内外で注目を集めた。しかし実際は下記に挙げるような要因により利用は低迷し続けた。

  • 番組視聴をいったん中断してポータル画面に入らなければならない煩わしさ
  • 電子メールや金融サービスなどのコンテンツが十分な魅力とならなかった
  • STB内蔵モデムの遅さ
  • 回線使用料が発生することへの不安感

 結局、サービスを運営していた合弁事業会社は解散し、その機能はBSkyBに吸収された。この事業整理を機に同社の双方向サービス戦略は大きな方向転換を遂げることとなる。

 BSkyBは、双方向サービスを「Sky Active」ブランドに統一し、独立型双方向サービスを引き続き提供する一方で、放送番組内容に連動した双方向機能の拡充に力を入れ始めた。

番組連動型双方向サービスの発展〜シンプルな操作性が鍵

 Sky News、Sky SportsなどのBSkyB系チャンネルでは画面右上に頻繁に赤い丸が表示される。これはその場面に双方向機能が備わっていることを知らせる目印で、リモコンの赤いボタンを押すことで番組本編に連動した画像や文字情報を引き出せる。

 リモコンを使った複雑な操作を嫌う視聴者に双方向コンテンツにアクセスしてもらうためにはシンプルな設計が不可欠である。各種調査において3回以上のボタン操作で大抵の利用者は嫌気がさすという結果も出ている。BBCも赤ボタンを起点とする単純な操作性に腐心した結果、イギリスでは「赤ボタン」が双方向サービスの代名詞となった。

 こうした赤ボタン表示はスポーツ中継やニュース番組でよく見られる。試合中継時に選手やチームの関連データを表示できるほか、カメラ・アングルの選択、さらには生放送中に試合の展開を予想し賭けを行うサービスも昨年末より提供されている。

試合展開を予想する“Sky Bet Live”

試合展開を予想する“Sky Bet Live”

 ニュース番組やリアリティー・ショーなどでは簡単なイエス/ノー方式で視聴者に意思表示や投票を呼びかけている。

 例えば2003年2月にSky Oneが放送したドキュメンタリー番組、“Michael Jackson: The Untold Story”は200万人という記録的高視聴を得たが、そこでも視聴者に対して「マイケル・ジャクソンはフェアな取材を受けたと思うか」などの設問が用意されていた。BSkyBによると、2.5万件の電話投票に加え、テレビの双方向画面から4.5万件の投票があったという。

双方向サービスによる収益増を期待する放送事業者

 双方向番組の成功はこうした視聴者数やレスポンス数で語られることが多い。商業放送の場合、双方向機能により番組価値が高まれば広告収入拡大につなげることができる。またプラットフォーム運営の観点からはサービス内容の充実が加入者の解約率を低く抑える効果も期待できる。さらに「Open...」の事例で見たように双方向サービスが新たな収益源を生みだすことへの期待感は根強い。

 そこで次回では今回紹介したような双方向サービスが放送事業者の収益にどのように貢献しているかを具体的に見ていきたい。

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関連リンク
▼テレビに双方向機能は必要か〜ヨーロッパに見る通信と放送の融合(1)
▼OPINION:電通総研

[森下真理子,電通総研]

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