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2004/04/13 15:44 更新


iSuppli、最新ASIC予測とマーケットシェアランキング発表

アイサプライ・ジャパンは4月13日、2004年最新のASIC市場予測とマーケットシェアランキングを発表した。日本勢は、NECエレクトロニクスがかろうじて5位にランクインするだけであった。

 アイサプライ・ジャパンは4月13日、2004年最新のASIC市場予測とマーケットシェアランキングを発表した。

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2002〜2003年新定義による最新ASICマーケットシェア・ランキング(クリックで拡大します)

 3月12日に発表したアイサプライの世界半導体企業年間売上ランキング2003年確定値によると、2001年と2002年が半導体業界にとって暗黒時代であったなら、2003年はルネッサンスの始まりであり、売上高は堅調に14.2%増加した。

 2003年後半の売上が急上昇したことにより、半導体業界は確固とした2桁成長のパターンに乗り、2004年も増収が確実視されている。アイサプライによる2003年成長率の最終推定値14.2%は、2003年12月に出された暫定推定値の13.9%に近いものになった。

 また、アイサプライが4月1日に更新した最新の世界全半導体市場予測では、2004年は2177億米ドルとなり、19.8%増加すると上方修正している。世界ASICマーケットシェアの分析今回、アイサプライでは、ASIC(SoC含む)市場に新しい製品分類定義を導入し、独自調査で業界のタブーとされてきたASIC の企業実態を明らかにした。

 かつて、ゲートアレイ全盛期には、この市場の開拓者であった米国企業のLSIロジックや、富士通、NEC、東芝、日立製作所、三菱電機の日本勢がトップを独占し、圧倒的なシェアを占めていたASIC市場は、様相を大きく変えてしまった。2003年の市場において、NECエレクトロニクスがかろうじて5位にランクインするだけであった。トップ5はIBM、Texas Instruments(TI)社、STマイクロエレクトロニクス、アギアシステムズなどの欧米勢に明け渡し、日本勢は総崩れとなった。

 そもそもゲートアレイがコスト的優位性を持っていたのは、DRAMに使った原価償却済みの製造ラインを、マイクロコントローラ(MCU)で使い、さらにはASICにまわすという図式を取っていたからである。かつての日本の三種の神器の1つ、DRAMを失ってしまった今、この黄金の方程式は成立しない。ゲート単価が下がったにもかかわらず、安いコストで作ることができなくなり、収益が出なくなってしまった。

 これとともに、フレキシビリティは高いが、コストも高かったために従来はほとんど採用されなかったプログラマブル・デバイスのFPGA/PLDが台頭し、ゲートアレイを逆転するほどにシェアを拡大している。TSMCやUMCなど大手の最先端ロジック技術を保有するファンドリを使うことでコストダウンが進んだからだ。さらに、開発期間を短縮でき、すばやいTime to Marketを実現するといったアドバンテージも相まって、量産にもFPGA/PLDが使われるようになり、有線通信機器だけでなく、デジタル家電市場にも参入し始めている。

 このようなゲートアレイの衰退とともに、日本勢に残るのはシステム・オン・チップ(SoC)だけとなってしまった。しかし、2003年の数字を見ると、トップは、コンピューター技術を応用しゲーム機分野で採用されたエンベデッド・プロセッサ(PowerPC)のSoC技術に優れ、自社内でSOIウェハーやパッケージまでの全工程をカバーし、OEM企業の要望に応じてアーキテクチャを決められる設計手法を持っているIBMである。

 同社はまた、デジタルTVなどデジタル民生にも応用し始めている。続いて、2位であったものの、前年に比べ20%増と圧倒的な伸びを示したのが、TIである。携帯電話のカラー化、小型化、カメラ付といった変化が、もともと強かったDSPと周辺アナログICを、取り込んでSoC化することで、この分野での強みに拍車をかけた。3位のSTマイクロエレクトロニクスは、ミックスドシグナルで、欧州大手企業の携帯電話や車載用(自動車分野)およびデジタル家電用の受注をほぼ独占している。アギアシステムズはHDDを中心にストレージの中のSoCで伸びており、Freescale Semiconductorは、まだ車載市場を押さえている。

 一方、日本勢では、何とか5位にランクインしたNECエレクトロニクスが、TV機能付携帯電話向けのSoCやエンベデッド・フラッシュやエンベデッド・プロセッサ(MIPSやARM、V85)車載用LSIをSoC化するなど、SoCのビジネスに注力しているが、マイナス成長となっている。ストラクチャードASICに見られるように、レガシー技術によって少量多品種のゲートアレイを残存しながら、携帯電話やDSC用途SoCも手がける7位の富士通は、2003年にはFeRAMを使ったSoCでICタグ市場に参入したり、ゲートアレイとFPGA の中間的性質を持つ「アクセルアレイ」といったヒット商品に恵まれたため、2桁のプラス成長を遂げている。東芝の伸びはソニーのプレーステーション2向けカスタムCBIC、ルネサステクノロジは企業統合によるランクインと、DSC、PDA、携帯電話など小型モバイル機器向けにオリジナル・エンベデッド・マイクロプロセッサ(SH)と周辺デバイスをSoC化している。

 トップを走る欧米勢は、それぞれ武器ともいうべきキラーデバイスと知的財産コア(IP)を持っていることが強みとなっており、持たざる日本勢との差は歴然とシェアに現れている。この欧米企業と日本企業の大きな格差の背景には、自社独自のIPコア技術を保有しているか、していないかが大きく影響している。SoCビジネスは、IPへのロイヤリティとアクセス費用が負担になるため、ビジネスの柱となる独自のIP技術開発が必須となる。また、SoCビジネスを成功させるためには、世界的シェアの高い(将来性の高い)OEM 企業との強力なリレーションシップの構築と、その企業をサポートするための最先端技術開発と投資が最も重要である。

[豊崎禎久,アイサプライ・ジャパン]

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