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ユビキタスネットワークとセンサーの新しい可能性ITソリューションフロンティア:トピックス

» 2004年07月06日 00時00分 公開
[藤吉栄二,野村総合研究所]

センサーとは

 センサーは、冷蔵庫やエアコンの温度モニターに利用される温度センサーや、火災検知ための煙センサー、防犯用の赤外線センサーなど、生活に密着したものとして馴染みが深い。そのほかにも液量計やカメラなどさまざまな機器や分野で広く利用されている。

 センサーが感知の対象とする情報は、図1のように属性情報、環境情報、個体状況という3つに分類できる。バーコードスキャンによる入荷検品処理(商品コードの取得)や、オフィスへの入室時に行う身分証のスキャン(ID情報の取得・確認)、位置情報の把握などもセンシングの一例である。すなわち、センサーとは人、物、動物、環境などに関わるあらゆる情報を取得するものと言える。

図1

広がるセンサーの可能性

 近年の通信ネットワークの普及、端末機能の高機能化など情報通信技術の高度化は、センサーの可能性をさらに広げようとしている。たとえば、複数のセンサーを協調的に動作させて大規模なセンシングシステムを構築したり、端末を小型・無線化してさまざまな機器に搭載するといった使い方がある。いずれの場合も、固定系有線インフラの低価格化、無線LANやGPS全地球測位システム)など無線システムの汎用化など、通信インフラの普及によるところが大きい。

 このような背景のもとで、センサーとネットワークによってもたらされる新たなサービス、今後取り組むべき課題などについて研究するため、総務省では2004年3月に「ユビキタスセンサーネットワーク技術に関する調査研究会」を設置している。

ユビキタス時代のセンサー利用法

 センサーをネットワークと連携させたサービスやアプリケーションには、前述したセンシングを行う対象、システムの規模などに応じて、図2に示すようにさまざまなものが想定される。

図2 (クリックで拡大表示)

 たとえば、温度センサーやヒト感知センサーをオフィスビルや店舗のさまざまな場所に配置し、エアコンによる冷えすぎや暖めすぎを防いだり、人がいない場所では適宜エアコンをオフにするなど、ビルや店舗全体でのきめ細かな温度管理を行うものが考えられる。

 また、ヒト感知センサーやRFID(無線による個体識別。ICタグともいう)を用いて、人がオフィスに在席しているかを確認したり、書籍やファイルなどの管理を行うことも可能である。あるいは、RFIDやGPSを流通経路における商品のトラッキングに利用することも考えられる。とくにRFIDに関しては、標準化や市場への適用検討が進んでいる。

今後の課題と展望

 センサーをさらに広域的かつ大規模に利用するには、低価格なセンサーデバイスの開発、きわめて多数のセンサーを協調的に動作させるシステム技術の開発、企業内システムとの接続、情報流通のためのプロトコルの標準化などが課題となる。

 センサーネットワーク技術はまだ発展途上だが、中長期的には私たちの生活や企業の業務を支援する当たり前の技術として浸透していくと思われる。そのため企業にとっては、自社の情報システムへセンサーをどのように取り込めるか、検討していくことが必要となるであろう。

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