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7〜9月期のPC出荷は予想以下――Gartner調査

» 2004年10月27日 15時09分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Gartnerによると、2004年7〜9月期の世界PC出荷台数は前年同期比で9.7%増加したものの、米国市場での販売鈍化が響き、事前の予測を若干下回った。米国での出荷台数は5%伸びたが、アナリストは8%以上の伸びを予測していた。

 「7〜9月期に米国では家庭向けノートPCの出荷は好調だったが、デスクトップPCの需要が非常に弱かったため、新学期商戦の出荷が全体として低調となった」とGartnerのコンピューティングプラットフォームワールドワイドグループの副社長、チャールズ・スマルダーズ氏は語る。ベンダー別では、Dellが7〜9月期に出荷台数を世界市場で前年同期比20.9%、米国市場で14.5%伸ばし、両方の市場でトップシェアを維持した。同社は欧州市場が特に好調で、出荷台数は36.7%増となった。

 Gartnerによると、2位のHewlett-Packard(HP)の出荷台数の伸び率は業界平均と同じとなり、市場シェアは前年同期から横ばいだった。「地域的に見ると、HPは米国の小売市場で、同社より積極的に店頭の棚スペースの確保を図るライバル企業に押されている」とスマルダーズ氏は付け加えた。

 7〜9月期に米国市場の出荷台数は1620万台と前年同期比で5%伸びた。Gartnerのアナリストは、ノートPCは販売が好調だったがデスクトップPCは需要が低迷したとしている。

 欧州・中東・アフリカ(EMEA)市場も予測を若干下回り、出荷台数は前年同期比12.6%増の1430万台となった。アナリストは14%の増加を予測していた。EMEAの中で東西欧州は出荷の伸びが鈍化したが、中東とアフリカは大幅成長を記録した。

 「市場は1年近く前のピーク時と比べて下降傾向にある。買い替えサイクルが終わり、コンシューマー需要が不安定になりつつあるためだ」とGartnerのコンピュータプラットフォームグループのアナリスト、ランジット・アトワル氏は語る。「新学期商戦でのPC販売は不発に終わった。小売業者の多くは製品在庫を一掃するため、少なくとも10月の前半まで販促プロモーションを続けると話していた」

 EMEA市場で首位のHPはシェアを伸ばしたが、主要なライバル企業は同社を上回る伸びを記録した。HPの流通チャネル経由の販売は4〜6月期よりも順調だったが、同社のチャネル戦略は依然として不満を買っている。DellとFujitsu-Siemensの出荷台数は市場全体を上回るペースで増え、上位ベンダー5社の合計シェアは引き続き上昇した。中下位ベンダーの再編淘汰が起こる公算が高まっている。

 アジア太平洋市場では、インドとオーストラリアの出荷台数がそれぞれ30%増、19%増と顕著な伸びを示した。中国の出荷台数は11%増加したが、Gartnerによると、中国経済の過熱防止に向けた政府の規制策の影響が、今後の大きな懸念材料となる。中南米市場の出荷台数は29%増となった。Gartnerは大幅な増加の要因として、PCの買い替え需要、金利の低下、PCベンダーが提供する柔軟な購入プログラム、ブロードバンドの普及拡大、システムの価格性能比の向上を挙げている。

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