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“聞き上手”な調査Survey Weekly Top 10

» 2005年05月18日 19時25分 公開
[松山由美子,ITmedia]

 先週アクセスを集めたのは、地デジ関連の定例調査。調査内容もさることながら「見たくない、2割」というタイトルのインパクトが目を引いたのではないだろうか。

 この設問は「あなたは地上デジタル放送を見たいですか」の問いに対して、回答の選択肢は「見ている」「見たい」「見たくない」だ。

 この2割の中には「地デジなんか頼まれたって絶対みたくねーよ!」という人よりは、「いまのところ、特に見たいものもないので“見たくない”」だなぁ、という感じで選択した人のほうが多いのではないだろうか。「見たくない」という言葉のインパクトから感じる「拒絶」の意味合いは実際にはそれほど強くない気がする。もっというなら「見たくない」のではなく「見たいものがない」のかもしれない。

 4位のICカードに関する調査をみてみよう。最初の設問が「ICカードを知っていますか」で、回答は、「知っている」が48.3%、「名前は聞いたことがある」が45.4%、「知らない」が6.3%だ。だが、この中に持っているカードはありますか、とさまざまなICカードを選択形式で選んでもらうと、回答者全体の所有率は6割を超える。「名前は聞いたことがある」「知らない」と回答した人の中に、すでにICカードを所有している人がいたことになる。

 最初の設問結果だけ見て「浸透度は5割に満たないのか」と判断するのは早計だ。また、所有していなくても「Suica」や「ICOCCA」、「Edy」を知っている、という人はいるだろうから、ICカードを知っている人の数は6割以上になるだろう。

 「ICカード」という言葉の浸透度を調べるなら、この調査のように特に説明せず質問するのがいい。その後で具体的なカードを示すと知っている人が増える、ということは「この言葉は、カード自体の普及度に比べてまだまだ一般的になっていないんだな」ということもわかる。

 もしICカードそのものの浸透度を調べたいなら、あらかじめICカードについての説明が必要になる。

 同じ「ICカードを知っていますか」でも回答数には差が出るだろう。言葉の認知度か、カードそのものの浸透度か、知りたい内容によって質問の仕方を変えなければならないだろう。

 調査結果を正しく得るためには、正しい聞き方がポイントのようだ。調査やマーケティングに関してはシロートの筆者だが、たくさんの調査ニュースをみていると「自分の調べたい事項に対する正しい回答結果を得たいなら、質問の仕方が大事なんだなぁ」と勉強の日々だ。

 晩御飯をコンビニかデパ地下で買って帰るつもりで「晩御飯何にする?」と聞いたのに、「中華がいいな。××どう? きょうなら空いてそう」と高級料理店を指定されるという調査の失敗を避けるためにも、質問内容は慎重に決めなければならないのである。

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