ノンパーシステント(非永続)型の仮想デスクトップインフラ(VDI)で、エンドユーザーの自由なカスタマイズを実現するのは簡単ではない。IT部門の負担を抑えながらカスタマイズ性を高める手段とは。
クラフトビール愛好家の中には、ホップの苦みが強めのインディアペールエール(IPA)を好む人が少なくない。それと同様にITプロフェッショナルは可能であれば、仮想デスクトップインフラ(VDI)の運用方式として「ノンパーシステント」(非永続)型を好む傾向にある。
ノンパーシステント型のVDIは、各セッションの終了後に状態をリセットするので、IT部門にとって管理が楽だ。それでもエンドユーザーは、少なくともある程度はパーソナルな仮想デスクトップを構築し、自分の好みに合わせてユーザーエクスペリエンス(UX)をカスタマイズしたいと考えている。
IT管理者は多くの場合、ノンパーシステント型VDIに「移動ユーザープロファイル」(「ローミングプロファイル」とも)を使って、ある程度のパーソナライゼーションを実現する。移動ユーザープロファイルは、パーソナライゼーションの設定を記載したユーザープロファイルを、仮想デスクトップではなくネットワーク共有サーバに保管する。
移動ユーザープロファイルは完璧な方法ではない。だがエンドユーザーのニーズをおおむね満たすことは可能だ。移動ユーザープロファイルは、ユーザープロファイル内に保存されているデータと構成設定だけを保管する。ユーザープロファイルがカバーしていないオブジェクトに加えた変更は、ログオフの時点で全て失われる。
ログオンとログオフの時間が長くなりかねないという問題もある。移動ユーザープロファイルではデータファイルの数が増え、ネットワークを圧迫するからだ。そのため多くの従業員を有する大規模企業にとって、移動ユーザープロファイルは必ずしも理想的な選択肢とは限らない。
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