Appleが新たに発表した顔認証システム「Face ID」について、セキュリティリスクやプライバシー侵害を懸念する声が聞かれる。Face IDの普及に果たして“リスク”があるのか、セキュリティ専門ジャーナリストが解説する。
政府機関の監視行為に対する懸念が増す今日、「顔認証」という言葉が社会に、ちょっとしたパニックを起こしている。Appleが新たに発表したiPhone最上位機種「iPhone X」に搭載した顔認証セキュリティシステム「Face ID」について、人々の懸念につけこみ、その“リスク”を不当に誇張する評論家さえいる。
人々が誤解しやすい点の1つは、“Face IDの情報にアクセスができるのは誰か”という認識である。例えば、「Appleがユーザーの顔をスキャンした情報の巨大なデータベースを構築すれば、政府機関が強制的に情報開示を迫る可能性がある」と主張する人がいる。
しかしAppleは、政府機関に対し、個人向けデバイスのロック解除につながる個人情報の開示をことごとく拒否している。その結果、FBI(米連邦捜査局)は2016年、Appleの指紋認証システム「Touch ID」で保護された容疑者のiPhone内部を閲覧するために、巨額の費用をつぎ込む羽目になった。iPhone Xは、ユーザーの顔をスキャンした情報を、AppleのモバイルOS「iOS」のセキュリティアーキテクチャ「Secure Enclave」に保存する。Appleによれば、Touch IDの指紋情報と同様、iPhoneがそうした情報をクラウドに送信することはない。
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