ハイブリッドワークが浸透し、日常業務で生成AIを利用する機会が増えるなどビジネス環境が変化する今、ビジネスPCに求められるものも変わってきた。今回はそんな新しいビジネス環境に適した高性能なビジネスPC「HP EliteBook 1040 G11」をじっくりと触ることができたので、使用感などを紹介したい。
ハイブリッドワークやオフィスのフリーアドレス化を採用する企業が増えたことで、快適な業務環境の一つに、いつでもどこでもインターネットに接続できることが求められるようになった。これまで外出先でインターネットに接続する手段としてはカフェなどのフリーWi-Fiかスマートフォンのテザリング機能などを利用するのが一般的だった。だが前者はビジネスで使うにはセキュリティガバナンスの観点から懸念があり、後者は大容量のデータをやりとりすると通信量が気になる。
電源に接続できない場面もあるため、バッテリー駆動時間も気になるポイントだ。複数のアプリケーションを使いながら快適にWeb会議ができるような性能や、気軽に持ち歩ける携帯性の高さも大切だ。
最近はAIチャットbotなどのAIツールを利用する場面も増えてきた。AIツールの多くは現時点では基本的にクラウドで処理するため、どこでも安全にインターネットが使える環境のニーズは一層高まっている。さらに近い将来、ローカルでAI処理をするアプリケーションが増えると見込まれているため、高速かつ低消費電力で処理できる性能も必要だろう。
そんな時代のよき相棒となるビジネスPCがHP EliteBook 1040 G11だ。実際に使ってみた詳細レビューについては後述するとして、まずは簡単に特長を紹介する。
HP EliteBook 1040 G11は、14型液晶ディスプレイ搭載のビジネスPCで、CPUとして「インテル®Core™ Ultra 5 プロセッサー」「インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー」を搭載している。Core Ultra 7/5は、開発コードネーム「Meteor Lake」と呼ばれていた製品であり、従来のCoreプロセッサーの後継となる新ブランド「Core Ultra」を初めて冠した新世代CPUだ。これらを「Core Ultraプロセッサー(シリーズ1)」と呼ぶこともある。
Core Ultraでの進化点は多岐にわたる。インテルのCPUとして初めてAI専用プロセッサーであるNPUを搭載し、CPU、GPUと合わせて3つのエンジンが分担することで処理能力を向上させている。脅威の検出にGPUやNPUを活用することで検出速度を高速にするなどのメリットもある。さらに「第12世代インテル® Core™ プロセッサー」で導入したPコア(高性能コア)、Eコア(高効率コア)に加えてLPEコア(低消費電力高効率コア)を搭載し、処理性能と電力効率を両立させている。
また、HPが提供するビジネスPCの特長の一つに「HP eSIM Connect」が挙げられる。au回線を利用した法人向けMVNOサービスで、データ通信が5年間無制限で使えるサービスだ。PCの購入代金に5年間の通信費が含まれているため、追加料金は不要。通信コストを削減できていつでもどこでも安定したインターネット接続が可能になる。EliteBook 1040 G11にもこのHP eSIM Connect対応モデルを用意している。
Core Ultraを搭載してHP eSIM Connectに対応したHP EliteBook 1040 G11は、まさに新たなビジネス環境に適した製品といえる。筆者はモバイルノートPCが好きで、これまで多くの機種を使ってきたが、今回、HP EliteBook 1040 G11を試用する機会を得たので、じっくりと使用感を紹介する。
HP EliteBook 1040 G11は、Core Ultra 7 155H、32GBのメモリ、512GB のSSDを搭載したハイスペックなモデルだ。Core Ultra 7 155HはPコアを6個、Eコアを8個、LPEコアを2個搭載した16コアCPUで、最大22スレッドの同時実行が可能(Pコアは1個で2スレッドを実行可能)な高性能CPUだ。
液晶解像度は1920×1200ピクセルで、アスペクト比は16:10。アスペクト比16:9のフルHD液晶(1920×1080ピクセル)を搭載するモバイルノートPCよりも縦方向が120ピクセル広いため、文書や資料を作成、閲覧するときなど一度により広い範囲を表示できる。液晶表面はノングレア仕上げなので外光の映り込みが抑えられ、長時間使っても目への負担が少ない。視野角をワンタッチで制限できる「HP Sure View Reflect」を搭載したモデルも用意されており、この機能を使えば他人からディスプレイをのぞき見される心配もない。液晶ヒンジは180度開くため、対面で相手に画面を見せて説明する場合などにも便利だ。
Web会議を快適にするポイントも満載だ。CPUの処理性能が高くてメモリ容量も余裕があるため、多数のWebページを開いたままPowerPointの画面を共有してWeb会議をするといった作業も難なくこなせる。AIベースのノイズリダクションやNPUを活用する「Windows スタジオ エフェクト」機能を使うと、視覚的、聴覚的にもWeb会議が快適になる。高画質の5メガピクセルのMIPIカメラを搭載しているためビデオ画質も良好だ。
セキュリティ面では、指紋認証と顔認証の両方に対応していることも特筆に値する。電源ボタンに指紋リーダーを搭載しており、電源を入れると同時に指紋認証が可能だ。顔認証も精度が高いIRカメラ方式を採用している。
ハイブリッドワークでは電源がない場所で長時間仕事をすることもあるため、バッテリー駆動時間は重要だ。今回試用したモデルは68ワット時の大容量バッテリーを搭載しており、「MobileMark 25」によるベンチマークテストでは最大20時間というバッテリー駆動時間を実現している。
実際にWi-Fiを有効にした状態で、Webブラウザで調べ物をしながらテキストエディタで原稿を書いてみたところ、6時間の作業後でもバッテリーは55%も残っていた(電源モードはバランス、液晶輝度は50)。インターネットで検索しながら文書作成するような比較的負荷が低い利用方法なら、フル充電で12時間は十分持つだろう。Core Ultraの省電力性能の高さが存分に発揮されていると言える。筆者が普段使っている第12世代Coreプロセッサー搭載モバイルノートPCと比べて、バッテリーが2倍以上持つ感覚だ。これなら1日たっぷり使っても、まずバッテリーが切れる心配はないだろう。付属のACアダプターもコンパクトで薄く、軽いこともありがたい。
ボディーのデザインも魅力的だ。グレイシャーシルバーと言う明るく透明感のある新色で、指紋や汚れが付きにくいコーティング仕上げになっている。軽くて丈夫なマグネシウム合金を採用して高い堅牢(けんろう)性と耐久性を実現しているので、安心して持ち運べる。堅牢性については、HP独自の12万時間を超えるテストと米軍調達規格の「MIL-STD-810H」をクリアしている。
ボディーの質感や手で触わった感触も優れており、ラグジュアリーな雰囲気が感じられる。本体重量は約1.2キロと軽く、厚さは最厚部で17.55ミリとスリムだ。実際に持ってみたが、この重量と薄さなら気軽に持ち運べた。
HP eSIM Connectも非常に便利だった。電源を入れるとすぐにWWAN(Wireless Wide Area Network)でインターネットに接続するため、スマートフォンと同じ感覚でメールチェックやWebサイトの閲覧などができる。セキュリティ面の不安を感じながらフリーWi-Fiを使ったりパケット代を気にしながらテザリングを利用したりする必要がなくなるため、一度この環境に慣れてしまうともう元には戻れないだろう。
HP EliteBook 1040 G11は、キーボードやクリックパッドの使い勝手も優れている。キーボードはバックライト付きの85キーで、WindowsのAI機能をワンタッチで呼び出せるCopilotキーも用意されている。キーピッチは19ミリで、配列も標準的で使いやすい。キートロークも1.3ミリと十分で、ぐらつかず快適に打鍵できる。クリックパッドは大型でマルチジェスチャーにも対応しており、操作性は良好だ。
インタフェースも充実している。HP EliteBook 1040 G11は、右側面にUSB Type-AとUSB Type-Cが1基ずつ、左側面にHDMI 2.1が1基、Thunderbolt 4が2基、ヘッドセット端子がある。Thunderbolt 4は最大40Gbpsの高速通信が可能な他、USB Type-Cとしても利用できる。USB Type-Cとして利用できる3基のポートは全てUSB PDやDisplayPort 1.4に対応しており、どのポートにACアダプターをつないでも充電できるのは便利だ。eSIM対応モデルはnanoSIMカードスロットも備える。HDMI端子もあるので、プロジェクターやセカンドディスプレイに出力する場合もアダプターなどを使う必要がない。ビジネスシーンで必要なものをよく考えて作られた製品と言えるだろう。
HP EliteBook 1040 G11は多様化するビジネス環境の要求にしっかりと応えてくれる完成度の高いモバイルノートPCだ。特に性能の高さとバッテリー駆動時間の長さには驚かされた。HP独自のセキュリティ機能も非常に充実しており、ハイブリッドワークが広がったAI時代にふさわしい製品と言える。
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